TOP ビジネス著者が語る、リーダーの仕事術 言葉は武器である。明石家さんまさんと島田紳助さんから学べ

2021/06/10

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第106回

言葉は武器である。明石家さんまさんと島田紳助さんから学べ

  • ビジネススキル
  • キャリア
  • 野呂 エイシロウ氏

まさに、命がけである。筆者は、この新型コロナが起こってから生き残るために命がけである。 コミュニケーションを、数倍丁寧にやらないと、ちゃんと伝わらない時代がやってきた。これまでもビジネスチャットのSlackやチャットワークを駆使してきたIT企業とのやりとりは何も変わらないのだが、コロナではじめてデジタル化した企業はけっこう大変である。 そう、コミュニケーションを維持することが非常に難しいのである。外資系企業で本国とのやりとりがある企業は、ずっと以前からZoomやスカイプなどをつかって会議をしていた。リモートによる意思疎通もそんなに難しくない。商社マンとのやりとりも楽ちんである。

メールの書き方、遠隔地とのコミュニケーションが非常に得意な人々の集団である。

 

でも大半の人はそうではない。得意ではない人も多い。Zoom会議もそうである。うまくいかない人も数多い。先日もリモート会議で「やはりリアル会議が一番」てきな話が出ていた。それはもう過去の話だ。

 

そういうことが言える人は「命がけ」ではない。ボクは自営業なので、その場で与えられた環境で目いっぱいアクセルを踏まないと生きて行けない環境にある。それが今のボクである。

 

そこで大切なのは、「会話をする」「言葉を操る」という武器である。その連続である。そのためにボクは53歳を過ぎた今でも懸命に努力をしている。会議に参加することが仕事だからである。

 

コミュニケーションは仕事である。まずはYouTubeを見る。時間とコストがかからないから非常に便利だ。ボクは2人の男のYouTube を徹底的に学ぶ。最新刊にも記載したが、明石家さんまさんのトークは絶妙である。さんまさんは天才的にしゃべるのが上手である。そしてもう1人は島田紳助さんだ。芸能界を引退して久しくたつが、最近、YouTubeに顔を出すようになった。

 

この2人のトークは超絶妙である。明石家さんまさんは、人の会話を引き出す天才である。よくよくテレビ番組を見てほしい。1対9である。1つを話せばあと9割は相手に話させる。

 

「よくデートであるじゃん。俺やったら、嫌やけど」「あなた、そんな時どうするの?」「いらつかない?」などと、相手にボールをどんどん投げてゆく。トークのストライクゾーンをちゃんと与えてあげている。

 

「デートでの失敗話をすればトークを盛り上がるよ」という球を投げている。場合によっては「デートの遅刻話をすればいいんですよ」という超ストライクゾーンを教えてくれる。「私は、さんまさんと違って……」などと話し始めればそれだけで成り立つような会話のボールを投げてくれる。

 

これは営業職の人に有効な方法である。ストライクゾーンはすぐそこである。さあ、あとは投げるだけである。勇気があるかどうか? ということになるだろう。

 

先日、売れない営業マンの話を聞いた。ある高額商品を売っているが売れないというのだ。練習がてらトークをしてみると、懸命に性能の話をしている。性能の話をして説得しようとしているのだ。

 

「それでは売るのは無理だね」と伝えた。彼が言っているのは「ボクはAVビデオを1000本見たので、結婚生活がうまくいきます!」と述べているのと同じだ。知識をいくら並べても思いやりなどがなければ結婚生活などはうまくいくはずがないとボクは思う。

 

トークは相手を探ることに使うのだ。明石家さんまさん方式である。「やはり在宅勤務ですか?」とか「Zoom会議がメインですか?」というふうに探っていくのである。そう、恋愛と一緒で相手をいかに好きになっていくか?ということが非常に大切なのである。

 

玉ねぎやキャベツの中心を探るべく、一枚一枚めくってゆく感覚である。それがトークの醍醐味(だいごみ)である。それができればちょっと面白いことになるかもしれないと思う。そして、顧客の方も、探られることが嫌いではない。ある意味の楽しさがある。それがキャッチボールである。

 

レッドブルという会社がある。彼らは性能を述べていない。「翼をさずける」だけである。「タウリン1000ミリグラム配合!」などとは述べていない。でも気が付けばレッドブルを選んでしまうことがある。

なぜか? 僕らは自分の身体にエンジンがあるわけではない。そうではなく、脳や心が励まして前進する動物である。だからこそ、大切なのは、言葉の勇気である。「翼をさずける」といわれると、元気が出るような気がする。

 

そう、エネルギーが欲しいわけではなく、元気が欲しいのだ。励ましてほしいのだ。だからこそレッドブルは、600億円を超える売上を誇っている。

 

同様の会話をしているのはアップルやテスラもだ。性能や航続距離ではない。それを所有し、使うことで元気になるのだ。アップル社のYouTubeを見ていると勇気が湧いてくる。

 

「走ってみよう」「なにか音楽を作ろう」「編集をしてみよう」「そうだ、動画を撮ってみよう」と、人生を変えてくれそうな気がする。だから多くの人はアップルに魅了される。性能の話はほとんどない。

 

テスラもそうだ。テスラは自動車を売っているわけではない。テスラという新しい乗り物の世界観を描いているのだ。そこが大切だ。トークも同じだ。あなたの世界観をつくればいい。そのためにはあなたと相手の間に小さな宇宙が大切だ。できる限り小さな空間が必要だ。

 

相手に話をさせる明石家さんまさん方式だと距離が近くなる。だが質問攻撃はNGである。「予算はいくらですか?」と聞いてはダメである。それよりも「12万円だと高すぎですよね?」と同調のトークに持ってゆくのである。それが明石家さんまさん風、距離の縮め方である。

 

もう1人のトークの達人は島田紳助さんである。島田さんは努力の塊だ。ロジックで攻めている。トークの速度まで計算している。以前なにかで話していたのだが、島田さんは漫才ブームの時、何冊もノートを持っていてそれを分析していたという。

 

島田さんは相手の弱点を見つけることが得意である。そこをトークで誇示して、嫌がられるところをお笑いにつなげている。そして相手も見ている。島田さんに弄(ろう)してほしいと思っている人もいる。なぜならオイシイしいからだ。突っ込まれるだけでいい。

 

トークは分析と実践である。面白いトークが武器である。世の中、テレビの中では会話だけで何億も稼ぐタレントさんがいる。そこから学ぶのが一番早いのだ。ぜひとも。

 

この記事は、アイティメディア株式会社の許諾を得て
「ITmediaエグゼクティブ『ビジネス著者が語る、リーダーの仕事術』」
の連載から転載したものです。無断転載を禁じます。

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プロフィール

  • 野呂 エイシロウ氏

    1967年生まれ  愛知工業大学卒業。学生起業家として活躍後、雑誌編集者に。「天才たけしの元気出るテレビ」で放送作家に。「鉄腕DASH」「特命リサーチ200X」「奇跡体験アンビリバボー」「ズームイン スーパー」など。30歳の時、大手広告代理店に誘われたのがきっかけで戦略的PRコンサルタントへ。 TV番組をヒットさせるのと、企業のPRを成功させることの共通点で、独自の手法を発揮。これまでに大手広告代理店をはじめ、150社以上と契約。自動車会社、家電メーカー、飲食チェーン店、飲料メーカー、学習塾など、分野は多岐にわたる。なぜか外資系企業からの依頼が多く、match.com(マッチ・ドットコム)、gilt groupe(ギルト・グループ)Groupon、(グルーポン)、Expedia(エクスペディア)、hulu(フルー)、有名ブランドなどを成功に導く。その他、金融機関、投資ファンドなどと数多く契約。傾向としては、マスコミの動向を常につかみながら最適な戦略&戦術を立案。リリースも独自の手法で、高採用を誇る。「うちの会社を面白くしてくれ」といわれてコンサルに入ることも多数。 著書に、『プレスリリースはラブレター』(万来舎)、『終わらす技術』(フォレスト出版)、『「話のおもしろい人」の法則』(アスコム)『成功を決めるのは才能よりも運』(大和書房)、『儲かる日本語 損する日本語 相手の心が思わず動く24の法則』(祥伝社)