TOP スペシャルコラムドラッカー再論 企業家的な成果測定の必要性、必然性。

2021/05/31

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第269回

企業家的な成果測定の必要性、必然性。

  • イノベーション
  • マネジメント
  • エグゼクティブ
  • 株式会社 経営者JP 代表取締役社長・CEO 井上和幸

 

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「個別の報酬の問題からも明らかなように、イノベーションの収益パターンは、既存の事業とは異なる。したがって評価測定の方法も異なるものにしなければならない。」(『イノベーションと企業家精神』、1985年)

 

既存事業であれば「年率15%の成長」「税引き前利益10%」というような目標には意味があり、それに対する評価は妥当なものとなる。
しかし、新規事業においては、これらの目標は意味をなさない。ドラッカーは、「ある意味では高すぎ、ある意味では低すぎる」と言っている。多くの読者経営者の皆さんもうなずくだろう。

 

「新規事業は長い間、往々にして数年間は利益も成長ももたらさない。資源を食うだけである。しかし突然成長し、開発に要した資金の50倍以上を回収する。さもなければイノベーションとして失敗である。イノベーションは小さく始まり、大きく実を結ぶ。だがそのためには、そもそもの初めから、小さな特殊製品の開発や既存製品の若干の充実といったことではなく、大きな新事業を生むべきものとして始めさせなければならない。」(『イノベーションと企業家精神』)

 

ドラッカーは、イノベーションがもたらすべきものについては、過去の経験からのフィードバックによってのみ知ることができると示唆する。

 

「イノベーションのための期間をどの程度見るべきか」
「資源の投入のタイミングは、いつが適切か」
「最初から人材と資金を大量に投入すべきか、それとも最初は担当者は1名とし、一人か二人を助手をつけるだけにすべきか」
「それでは、いつ規模を拡大するか」
「いつ、開発段階から利益をあげる事業に発展させるべきか」

 

これらの問いこそ大事であり、その答えは本の中にはなく、しかも主観や勘、あるいは理屈では答えられるものではない、と。

 

「とはいえ、真に企業家的な企業は、自らの産業、技術、市場におけるイノベーションのパターン、リズム、タイムスパンを知っているものである。これらのことを知るには、自社と競争相手のイノベーションの実績を体系的に分析しておかなければならない。すなわち、イノベーションの成果を期待にフィードバックさせ、企業家としての業績を定期的に評価しておく必要があある。」(『イノベーションと企業家精神』)

 

こうして初めて、イノベーションからいかなる成果を期待すべきであり、そこからイノベーションのための活動をいかにコントロールすべきかが分かるようになる。
その管理者や担当者の仕事ぶりも評価できるようになる。

 

企業家精神について...

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プロフィール

  • 井上和幸

    株式会社 経営者JP 代表取締役社長・CEO

    1989年早稲田大学卒業後、リクルート入社。2000年に人材コンサルティング会社に転職、取締役就任。2004年よりリクルート・エックス(現・リクルートエグゼクティブエージェント)。2010年に経営者JPを設立、代表取締役社長・CEOに就任。 『社長になる人の条件』(日本実業出版社)、『ずるいマネジメント』(SBクリエイティブ)『30代最後の転職を成功させる方法』(かんき出版)など著書多数。