TOP スペシャルコラムドラッカー再論 イノベーションを担う人の位置づけ方と遇し方。

2021/05/24

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第268回

イノベーションを担う人の位置づけ方と遇し方。

  • マネジメント
  • エグゼクティブ
  • イノベーション
  • 株式会社 経営者JP 代表取締役社長・CEO 井上和幸

 

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新規事業の息の根を止めることを防ぐおそらく唯一の方法は、初めから独立した事業としてスタートさせることだとドラッカーは言う。
こうしたスタイルを取っていることで有名(※1985年の本書執筆当時)な企業としてドラッカーは、P&G、ジョンソン&ジョンソン、3Mの3社を挙げている。今に至るまでイノベーションとマーケティングに長けていると目されている企業だ。

 

「いずれも新しい事業を初めから独立した事業としてスタートさせている。目標を達成し事業として一本立ちするか中止になるまで、専任のプロジェクト・マネジャーを置いている。しかもこのプロジェクト・マネジャーは、研究、生産、財務、マーケティングの専門家を必要なときに必要なだけ動員することができる。」(『イノベーションと企業家精神』、1985年)

 

新規事業については、誰かひとりが時間を割き、注意を払い、問題を理解し、意思決定を行うなど面倒を見なければならない。そして、このイノベーションを担当する人は、もっぱら赤ん坊のために働き、しかも見込みがなければ中止させることのできる高い地位になければならない。

 

「複数のイノベーションを手がけている場合、トップマネジメントの一人がそれらのすべてを担当することもできる。技術や市場や製品が異なっても問題はない。いずれも企業家的な新事業が直面する問題やそれが必要とする意思決定は、技術、市場、製品の種類に関わりなく、すべて同類と見てよい。」(『イノベーションと企業家精神』)

 

新規事業やイノベーションに関わる仕事を独立させて行う理由はもう一つあるとドラッカーは述べる。
それは事業そのものの評価やそれを担当する人たちの負担を軽減させるためだ。既存の事業が満たさなければならない会計、人事、報告のシステムは重たく、担当者の評価を成果・業績で測ってしまえば、評価はいきおい下がらざるを得ず、「損な役回り」「やってられない」ものになってしまうだろう。

 

「(イノベーションに関わる活動に対する報酬と報奨について)行うべきことはかなり矛盾している。新しい事業に、担えるはずのない負担を負わせてはならない。しかし、新しい事業を担当する人たちに過度の報酬は払えず、といって報酬を下げることも現実的ではない。しかも既存の企業において新しい事業を担当する人たちは、もともとかなりの収入を得る能力のある人たちである。内外を問わずにどこにいても高い報酬を得られる。」(『イノベーションと企業家精神』)

 

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プロフィール

  • 井上和幸

    株式会社 経営者JP 代表取締役社長・CEO

    1989年早稲田大学卒業後、リクルート入社。2000年に人材コンサルティング会社に転職、取締役就任。2004年よりリクルート・エックス(現・リクルートエグゼクティブエージェント)。2010年に経営者JPを設立、代表取締役社長・CEOに就任。 『社長になる人の条件』(日本実業出版社)、『ずるいマネジメント』(SBクリエイティブ)『30代最後の転職を成功させる方法』(かんき出版)など著書多数。