TOP スペシャルコラムドラッカー再論 イノベーションを実現する経営政策の立案法。

2021/04/26

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第265回

イノベーションを実現する経営政策の立案法。

  • イノベーション
  • エグゼクティブ
  • マネジメント
  • 株式会社 経営者JP 代表取締役社長・CEO 井上和幸

 

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イノベーションを成功させるためには、自社の中でイノベーションこそ組織を維持し発展させるための最高の手段であり、一人ひとりの成功にとって最も確実な基盤であることを周知させる必要があり、そのためにイノベーションを魅力的なものとする必要があるとドラッカーは述べている。

 

イノベーションを魅力的なものにするための第一の段階は、すでに活力を失ったもの、陳腐化したもの、生産的でなくなったものの廃棄を制度化することであり、第二の段階は製品、サービス、市場、流通チャネル、工程、技術にはいずれもライフサイクルがあることを前提として現状を把握することだというところを前回、ご紹介した。

 

「第三の段階が、いかなるイノベーションを、いかなる領域において、いかなる期限で行う必要があるかを明らかにすることである。」(『イノベーションと企業家精神』、1985年)

 

まず、自社の製品、サービス、市場、流通チャネルが、それぞれライフサイクルのどこに位置しているかを分析する。あとどれだけの期間成長するか、市場であり続けるか、いつ成熟し衰退していくか、どれくらいの速さで陳腐化するかを分析する。
その上で、既存の事業のみで最善を尽くし事業活動を続けた場合、企業全体がどのような状態になるかを明らかにする。

 

ここから売上、利益、市場シェアについて、現実に起こるであろうものと目標・理想とのギャップを明らかにする。このギャップが、自社の衰退を避けるために埋めるべきイノベーションでの成果目標となる。
このギャップは、既存の事業が陳腐化する前に埋める必要のあるものだ。

 

「つまるところ、イノベーションに確実性はない。失敗の可能性は大きく、遅れる可能性はさらに大きい。したがって、目標とするイノベーションの成果の大きさは、実際に必要な規模の三倍以上にしなければならない。経験の教えるところによればそれでも大きすぎることはない。」(『イノベーションと企業家精神』)

 

イノベーションは、時に期待以上の成果をあげ、時に期待外れのものとなる。当然、予想以上に時間がかかるだろう。予想を超えた努力が必要だと分かることも多い。
最後の段階で必ず問題や遅れが出るものだ。

 

「したがって、イノベーションの成果の規模を目標の三倍に設定することはごく初歩的な心得である。」(『イノベーションと企業家精神』)

 

ドラッカーがこの「3倍目標設定」を初歩的な心得と言っていることを、我々経営者は自らのこととして、また、何よりも自社の社員たちにしっかり認識させるべきことだということを心に留めたい。

 

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プロフィール

  • 井上和幸

    株式会社 経営者JP 代表取締役社長・CEO

    1989年早稲田大学卒業後、リクルート入社。2000年に人材コンサルティング会社に転職、取締役就任。2004年よりリクルート・エックス(現・リクルートエグゼクティブエージェント)。2010年に経営者JPを設立、代表取締役社長・CEOに就任。 『社長になる人の条件』(日本実業出版社)、『ずるいマネジメント』(SBクリエイティブ)『30代最後の転職を成功させる方法』(かんき出版)など著書多数。