TOP スペシャルコラムドラッカー再論 企業家精神の四つの条件。

2021/04/12

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第263回

企業家精神の四つの条件。

  • イノベーション
  • エグゼクティブ
  • マネジメント
  • 株式会社 経営者JP 代表取締役社長・CEO 井上和幸

 

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かねてより、大企業はイノベーションを生まない(生めない)と言われてきた。その通念は、半分は事実であるが、半分は事実でない。誤解である。多くの例外がある。ドラッカーはこう述べる。
かたや数多の大手企業の名をあげ、一方ではジョンソン&ジョンソン、3Mを、企業家としてイノベーションに成功した大企業の例としてドラッカーは挙げている。
1985年時点のこととして、GEは航空機用エンジン、高級プラスティック、医療用電子機器では成功したがコンピュータでは失敗。RCAはカラーテレビでは成功したが、コンピュータでは失敗したと、同じ大企業でもイノベーションはときに成功し、ときに失敗することに触れている。

 

「規模の大きさそのものはイノベーションや企業家精神の障害とはならない。確かに、よく問題にされる大組織の官僚的体質や保守的体質は、イノベーションと企業家精神にとって深刻な障害となる。しかしそれは中小の組織においても同じである。企業であれ公的機関であれ、最も企業家精神に乏しく最もイノベーションの体質に欠けているのは、むしろ小さな組織である。」(『イノベーションと企業家精神』、1985年)

 

イノベーションと企業家精神にとって、障害は規模ではない。それは既存事業そのものであり、特に成功している事業である。
既存の企業は、既に存在する事業、日常の危機、若干の収益増へとその生産資源を振り向けてしまいがちだからである。

 

しかし、イノベーションを行おうとしない企業は歳を取り衰弱していく。この数十年、加速度を増す一方の変化の時代に、衰弱のスピードは急速になるばかりだ。ひとたび後ろ向きになれば、向きを戻すことは至難となる。

 

一方では、イノベーションと企業家精神は、自然の衝動、自然の創造、自然の行動であるという通念がある。大組織でイノベーションが生まれないのは、組織がその自然の行動を抑えているからだとしている。それは大きな誤解だとドラッカーは指摘する。

 

「企業家精神は生まれつきのものではない。創造でもない。それは仕事である。正しい結論は通念とは逆である。かなりの数の中小企業、大企業、巨大企業が企業家としてイノベーションに成功しているという事実が、イノベーションと企業家精神がいかなる企業においても実現できることを示す。」(『イノベーションと企業家精神』)

 

ただしそのためには意識的な努力が必要だ。学び、企業家精神の発揮を自らの責務とし、そのために自らに規律を課し、そのために働く必要がある。

 

「企業家精神には四つの条件がある。第一に、イノベーションを受け入れ、変化を脅威でなく機会とみ...

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プロフィール

  • 井上和幸

    株式会社 経営者JP 代表取締役社長・CEO

    1989年早稲田大学卒業後、リクルート入社。2000年に人材コンサルティング会社に転職、取締役就任。2004年よりリクルート・エックス(現・リクルートエグゼクティブエージェント)。2010年に経営者JPを設立、代表取締役社長・CEOに就任。 『社長になる人の条件』(日本実業出版社)、『ずるいマネジメント』(SBクリエイティブ)『30代最後の転職を成功させる方法』(かんき出版)など著書多数。