2021/03/31
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イマ、ココ、注目社長!
第139回
AIによる自動化で「悲しい仕事」を世の中から消し去りたい。人間がより多様化し、パーソナル化する100年後の未来を見つめて。
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- 米倉 千貴氏 株式会社オルツ 代表取締役
AI(人工知能)の導入がさまざまな分野で急速に進んでいる。そうした中で、P.A.I.(パーソナル人工知能)の開発を進めているのが株式会社オルツ(2014年)だ。P.A.I.とは私たち自身の意思をデジタル化し、それをクラウド上に配置して、そのクローンにデジタル作業を行わせるAIのこと。その先にあるのは、世界中のすべての人が自分自身のデジタルクローンを持つ世界だ。デジタルクローンが24時間365日ネットワーク世界を飛び回り、自分が行わなくてもよい作業を代替する。それによって、人々は無駄な労働から解放され、クリエイティブな仕事ができるようになる。その実現に向けて着実に歩みを進める代表取締役の米倉千貴氏にお話をうかがった。
(聞き手/井上和幸)
落合選手の年俸3億円を目標にアスリートのように働く
――米倉さんはお兄さんとともに家出をしたのがきっかけで、最初の勤務先のメディアドゥに入られたとうかがっています。
ご兄弟で家出とは、よほどのことですよね…?!
米倉 大学時代に実家の事業がうまくいかず、いろいろと困難な状況に陥りました。これでは兄もぼくもダメになると思い、ふたりで家出を決行しました。それでアルバイトを探して、メディアドゥの携帯電話販売店の販売員になりました。
しばらくすると、メディアドゥの社長がIT事業を立ち上げるということで、アルバイトも含めた全従業員に「こういう事業をやろうと考えている。関心のある人は手を挙げて」と一斉メールを送ってきました。ぼくは小学生のころからプログラミングをやっていたので、「携帯電話の販売よりは面白いかな」くらいの軽い気持ちで、新しい部署に入りました。そこで携帯電話のウェブサイトの制作を始めました。
――その後、若くして事業責任者になられました。大抜擢ですね。
米倉 最初は5名くらいの部下を率いることになりました。しかし、まだ20代前半のぼくがマネージメントをするなんて、とても非効率なことだと思いました。自分自身が成長していないのに、人の面倒を見ている暇はないと感じたんです。とはいえ、それまでやっていた仕事を自由にできるという魅力もあり、引き受けることにしました。
――まもなくそのメディアドゥを退社されました。
米倉 20代前半で人をマネージメントすることには、やはり抵抗がありました。当時のメディアドゥはIPOを目指して組織力を強化していましたが、それにもあまり関心がありませんでした。とにかくアスリートのように働きたかったんです。しかし、会社は明確にIPOに向かっていたので、ぼくのやり...
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