2021/03/25
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戦略人事の仕掛人
第14回
これからの人事責任者に求められるのは、文脈を理解し、 二項対立しがちなことを偏りなくまとめようとする努力
- 組織
変化の激しい、先の読めない時代だからこそ増している“人財”の重要性。その人財を扱う人事のトップに求められる資質も言わずもがなだ。採用、教育、配置に特化するのではなく、経営者目線を持ち、経営者のよきパートナーとなり得る人事トップ、すなわち現在はCHROの時代と言っていい。
「戦略的人事の仕掛け人」。今回のゲストは、顧客管理の一元管理サービスを提供するセールスフォース・ドットコムで人事本部長を務める鈴木雅則さん。
「働きがいのある会社ランキング」で上位にランクインしつづける会社の魅力とは? 創業者マーク・ベニオフのリーダーシップや、アメリカの大学で学び、GE、GoogleなどでHRを経験した鈴木さん自身の知見はどのように活かされているのかなど、気になる話をうかがった。
行動の源は「自分の目で見てみたい」という知的好奇心
鈴木雅則さんが「人事」のおもしろさに気づいたのは、キャリアのかなり早い段階。
鈴木さんはアメリカの大学を卒業後に帰国し、留学予備校でアメリカやヨーロッパのMBAプログラムを希望する日本人の支援をするなかで、何人もの企業人事担当者と出会い「人事っておもしろそう」と感じたという。
心が動けば行動は早い。人事や組織について学べる大学院を調べ、さっそくコーネル大学の大学院へ。再びアメリカに渡り、卒業後はそのまま中国・大連のGEキャピタルに入社した。理由は、「当時の中国は成長速度がすさまじく、いったいどういう状況になっているのか、この目で確かめてみたかったから」だった。
次の職場となるGoogleに転職した動機も次の通り。
「世界ではもう『Googleは世の中を変えていく企業になるだろう』という認識だったのに、日本国内での評判はずいぶんと異なっていた。その理由に興味をそそられたんですよね」。
興味を持ったものに対して「実際に見てみたい」とかられる強い好奇心。そして、抜群のフットワーク。グローバル人事としての鈴木さんは、もともとのこの気質によって形作られた部分が大きい。
井上 周囲の人からどのように見られていたのか気になりますね。“フットワークのいい人”という表現ももちろんですが、“チャレンジャー”と表すこともできそうです。
鈴木 大学院で学ぶのは理論やベストプラクティスで、そこから「組織とはどうあるべきか」を考えるのですが、やはり「現場の実際はどうなっているのか?」もきちんと自分の目で見ておきたい。理論的理解と現場で起こっている現実、このふたつをどうまとめていけばいいのかと考えるところに、すごく楽しさを感じるんです。
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