TOP スペシャルコラムドラッカー再論 知識によるイノベーションにおける、特有のリスク。

2021/03/01

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第257回

知識によるイノベーションにおける、特有のリスク。

  • エグゼクティブ
  • マネジメント
  • 株式会社 経営者JP 代表取締役社長・CEO 井上和幸

 

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知識によるイノベーションには、特有のリスク、特有の不確実性が伴うとドラッカーは指摘している。

 

「そもそもそれは本質的に乱気流の世界である。知識によるイノベーションは、リードタイムの長さと異なる知識の結合という特有のリズムをもつ。」(『イノベーションと企業家精神』、1985年)

 

それはまず、最初に、イノベーションが起こりそうでありながら、なかなか何も起こらないという期間が長期にわたって続く。そしてある日突然、「爆発」が起こる。数年にわたる解放期が始まり、興奮と乱立が見られ脚光が当てられる。5年後には整理期が始まり、わずかなプレイヤーだけが生き残る—。

 

ドラッカーはこのように、知識によるイノベーションのライフサイクルを語っている。皆さんも概ね合意だと思う。電気、鉄道、自動車、通信、銀行、化学、各種の家電、インターネット、スマホ……歴史的事実から、我々はここ最近でのイノベーションに至るまで、繰り返し知識によるイノベーションの栄枯盛衰を見てきている。いま現在進行形のものとして配信系ビジネスが、これからのものとして自動運転・MaaS関連などが既に我々の生活に入ってきている。動静から目が離せない。

 

「いずれの場合も、生き残った企業は例外なく初期のブーム時に生まれたものだった。ブームのあとでは新規参入は事実上不可能となる。知識に基づく産業には、数年間にわたって新設のベンチャー・ビジネスが逃してはならない解放期がある。」(『イノベーションと企業家精神』)

 

必ずしも第一参入者が勝つわけではないものの、初期の段階で参入したものの中から勝者が生まれることは間違いないようだ。そしてこれらのことは2つの意味を持つとドラッカーは言う。

 

「第一に、科学や技術によるイノベーションを行おうとする者にとっては、時間が敵だということである。」(『イノベーションと企業家精神』)

 

他のイノベーションでは、時間的なタイミングを間違っても修正する時間があり、新規ベンチャーが参入するチャンスも数回はあるが、知識によるイノベーションではそうはいかない。

 

「新規参入が可能な解放期は短い。チャンスは二度とない。最初から失敗してはならない。環境は厳しく仮借ない。解放期が過ぎればチャンスは永久に失われる。」(『イノベーションと企業家精神』)
「第二に、知識によるイノベーションの解放期が込み合ってきたために、イノベーションを行う者の生き残りの確率が小さくなったことである。」(『イノベーションと企業家精神』)

 

確かに、競争がグローバルレベルとなるにつれ、また...

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プロフィール

  • 井上和幸

    株式会社 経営者JP 代表取締役社長・CEO

    1989年早稲田大学卒業後、リクルート入社。2000年に人材コンサルティング会社に転職、取締役就任。2004年よりリクルート・エックス(現・リクルートエグゼクティブエージェント)。2010年に経営者JPを設立、代表取締役社長・CEOに就任。 『社長になる人の条件』(日本実業出版社)、『ずるいマネジメント』(SBクリエイティブ)『30代最後の転職を成功させる方法』(かんき出版)など著書多数。