TOP スペシャルコラムドラッカー再論 人口構造の変化は、予見可能なまたとない機会だ。

2021/02/01

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第253回

人口構造の変化は、予見可能なまたとない機会だ。

  • エグゼクティブ
  • マネジメント
  • 株式会社 経営者JP 代表取締役社長・CEO 井上和幸

 

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ここまで見てきた「予期せぬ成功や失敗」「ギャップの存在」「ニーズの存在」「産業構造の変化」といった4つのイノベーションの機会は、企業や産業、市場の内部に現れるものであった。これに対して、産業や市場の外部に現れるイノベーションの機会が、残りの3つ「人口構造の変化」「認識の変化」「新しい知識の出現」だ。

 

「産業や市場の外部における変化のうち、人口の増減、年齢構成、雇用、教育水準、所得など人口構造の変化ほど明白なものはない。いずれも見誤りようがない。それらの変化がもたらすものは予測が容易である。しかもリードタイムまで明らかである。」(『イノベーションと企業家精神』、1985年)

 

未来は確実に予見することが叶わないものだが、その中で唯一、人口についてだけは一定の未来が確定されていて、確実に行く末を読むことができる。20年後に労働市場に参入してくる世代は、既にこの世に生まれており、それ以上に増えることはありえない。各世代の10年後は、今の人口構成から確定的に予測される。
ただし、その各世代のライフスタイルについては、時代の変化、技術イノベーション、医療の進歩などから大きく変化する。20年前、30年前の40代、50代、60代と、現在の40代、50代、60代とでは、驚くくらいに趣味嗜好や世代のイメージが変化していることは、皆さん自身が実感しているところだろう。

 

「このような人口構造の変化が企業家にとって実りあるイノベーションの機会となるのは、ひとえに既存の企業や公的機関の多くが、それを無視してくれるからである。彼らが、人口構造の変化は起こらないもの、あるいは急速には起こらないものであるとの仮定にしがみついているからである。」(『イノベーションと企業家精神』)

 

多くの専門家や企業は、5年、10年程度の、既に起きている現実をも見ようとしないとドラッカーは指摘する。出生率の変化、高齢者人口比率の推移、今の各世代のライフスタイルはおおよそそのまま5年後、10年後に5歳上の世代、10歳上の世代のライフスタイルを上書きしていく。

 

「誰もそれを機会とするどころか単なる事実としてさえ受け入れようとしない。したがって、通念を捨てて現実を受け入れる者、さらには新しい現実を自ら進んで探そうとする者は、長期にわたり競争にわずらわされることなく事業を行うことができる。」(『イノベーションと企業家精神』)

 

なぜならば、通常、競争相手が人口構造の変化を受け入れるのは、その次の変化と現実がやってきた頃だからだ。人口構造の変化の分析は、人口に関わる数字、中でも年齢構成が最も重要だとドラッカーは言う。これは既に...

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プロフィール

  • 井上和幸

    株式会社 経営者JP 代表取締役社長・CEO

    1989年早稲田大学卒業後、リクルート入社。2000年に人材コンサルティング会社に転職、取締役就任。2004年よりリクルート・エックス(現・リクルートエグゼクティブエージェント)。2010年に経営者JPを設立、代表取締役社長・CEOに就任。 『社長になる人の条件』(日本実業出版社)、『ずるいマネジメント』(SBクリエイティブ)『30代最後の転職を成功させる方法』(かんき出版)など著書多数。