2021/01/28
1/1ページ
敏腕キャピタリストの着眼点
第22回
起業家からのファーストコールが自分であるように――企業とビジョンをすり合わせて信用されるVCになる:ジャフコ高原 瑞紀氏 【前編】
- 経営
- 組織
ジャフコ グループは、日本に現存するベンチャーキャピタルのうち最古にして最大の会社だ。創業は1973年。国内外における運用ファンドの累計コミットメント額は1兆円超、投資先企業の累計上場社数は1000社を超える。今回ご紹介する高原瑞紀・関西支社支社長は、同志社大学を卒業した2010年に新卒で入社。中部支社で8年勤めた後、2018年から現職に就いている。入社以来、東京での環境とはまた違う、地方の経営者や上司との濃密な付き合いの中で得た学びが「良い財産になった」と語る高原さんに話を聞いた。
中部支社での経営者との濃密な付き合いが大きな財産に
井上 新卒でジャフコを選ばれていますが、まずはその理由からお伺いしていいでしょうか。
高原 私は同志社大学の法学部卒なのですが、大学のときに入っていたのは会社法のゼミでした。実学に重きを置きながら法律との接点を説いていくというのがゼミの内容で、その中のテーマのひとつにファンドがありました。当時(2000年代半ばから後半)は、ライブドア事件やブルドッグソース事件のような、会社法が注目されるような出来事がたくさんありましたが、それらも題材にしながら勉強している中で、ベンチャーファンドの存在を知りました。
また、私はもともとベンチャー企業に関心があったので、いろいろな起業家に会えるということでは、これほどうってつけの職業はないだろうと考えて、ほぼベンチャーキャピタル一本で就職活動をしました。
井上 当時としては珍しいですよね。そこまでVCに絞って就活するのは。
高原 たぶん珍しかったと思います。そもそも新卒で採ってもらえる会社自体が少なかったですから。何社か新卒採用をやっている会社があったのですが、ちょうどリーマンショックで、どこも新卒採用を途中で打ち切るなどしており、最終的にベンチャーキャピタル専業という意味ではジャフコだけになってしまいました。「運よく拾ってもらえた」というのが率直なところです。
井上 最初は東海圏に配属になられた。配属が決まってどういうご心境でしたか。別に体はないのですが……。
高原 おっしゃりたいことはわかります(笑)。私もベンチャーキャピタルに入ったので、東京の、いわゆる若いスタートアップの起業家とお話しできるイメージがすごく強かったのですが、「配属通知書」に名古屋と書いてあってびっくりしました。
井上 内定のときにもう配属が出るんですね。
高原 はい。大変驚いたのですが、結論から言うと、私の社会人としての素地をつくっていただいたのが、名古屋の起業家の方々でした。おそらく東京では経験できなかったであろうことをたくさん教え...
こちらは会員限定記事です。
無料会員登録をしていただくと続きをお読みいただけます。