2021/01/21
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戦略HRBPから見た、人・組織・事業・経営の現在&これから
第8回
新時代を切り開くリーダーシップは、IQではなくEQ(心の知能指数)を養うことが肝心
- 組織
- 35CoCreation合同会社 CEO 桜庭 理奈氏
2020年は、様々な意味で記憶に残る年になりました。VUCA(予測不能な、不確実性を孕んだ複雑かつ脆さを感じさせる不安定)な時代を象徴するような出来事の連続でした。これまでの成功体験や成功を収める方程式、お作法をそのまま踏襲することでは、持続的な企業の成長や組織の存続が難しくなってきていることを、それまでも多くの人たちが薄々感じていました。それがコロナウィルスの出現によって、その空気感が面食らう程のスピードと力を持って、現実のものとして私達に突き付けられたことは、否めません。
大きな時代の波を乗り越え、チームが手を携えて同じベクトルへと突き進み続けるためには、これまでのロジックや理論、IQを駆使したリーダーシップだけでは、このような時代を生きていくチームメンバーが直面する課題や葛藤を共に乗り越え、彼らの成長を支援し、彼らが幸福感や充足感を感じ続けながら成し遂げる貢献が、事業や組織の成長へと繋がる連鎖反応は、起こすことは難しいと考えます。しかもそれを1回ならずとも、短い期間に何度も押し寄せる波を乗り越えながら、持続的な成長を実現するとなれば、どうでしょうか。予定調和の中で事業のかじ取りをすることが、むしろマイノリティ(少数派)となっていくことが、名実ともに明らかになったところで、今こそ私たちは次の時代の幕開けを牽引するリーダーの育成の考え方を根底から考え直し、速やかに実行に着手すべき時に来ているのです。
持続的な結果を出し続けられる組織やチームの根底には、互いに弱さを見せられる信頼が存在する
私がリーダーシップ育成のプログラムでよく引用するモデルとして、チームマネジメントやビジネスマネジメントの分野で著書も多い、パトリック・レンシオーニが提唱する「チームにおける5つの機能不全」が挙げられます。企業やチームの悩みとして、「結果が出ない」ことへの課題はよく耳にしますが、パトリック・レンシオーニの下記のモデルによると、「結果が出ない」ことのもっと前に、チームの機能不全の連鎖反応が発生していることに気付いていますか、という問いかけから始まります。そもそも信頼が欠如しているチームから、持続的な成長や結果を出し続けるということを期待することは、難しい、というものです。連鎖反応を下からひとつずつひも解いていきましょう。
信頼の欠如・・・お互いの顔色を窺う。このようなことを言ったら馬鹿にされるのではないか、と不安を抱える。知らないことを知らないと言えない。自分の間違いを認めることは、自分が仕事のできない人間であると認めているようなものだ。意見が一致していなかったとしても、自分が作り上げた仮面や鎧をつけ、完全無欠である自分を演じることに労力を使う。
衝突への恐怖・・・互いを信頼して深い...
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