TOP ビジネス著者が語る、リーダーの仕事術 マーケティングは、モビルスーツである

2020/11/19

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第90回

マーケティングは、モビルスーツである

  • ビジネススキル
  • キャリア
  • マーケティング戦略コンサルタント 永井 孝尚氏

マーケティング力の有無で大きな差がつく時代になった。
 
しかし「日本のビジネスパーソンは素手と竹やりで、モビルスーツに乗る敵と戦っている。しかもそのことに気づいていない」と話すのは、マーケティングのプロとして「100円のコーラを1000円で売る方法」をはじめ、数多くの10万部を超えるベストセラーを世に出してきた永井孝尚さんだ。
 
2020年11月に『世界のエリートが学んでいるMBAマーケティング必読書50冊を1冊にまとめてみた』(KADOKAWA)を出版した永井さんに、話を聞いた。

 

素手と竹やりで戦う日本のビジネスパーソン

「素手と竹やりでモビルスーツに乗る敵と戦っているって、ちょっと言いすぎでは?」と思われるかもしれませんね。しかしこれは私自身の体験です。この状況は現代でもあまり変わっていません。

 

30代中頃までの私は「大量の仕事を最速でこなせば勝てる」と考え、現場に密着して製品企画やセールスをしていました。しかし一生懸命やっても成果はイマイチでした。

 

その後、勤務先のIBMが新設したマーケティング専門職1期生として、グローバルで展開していたマーケティング研修で学び始めました。その途端に、目からウロコが何枚も落ちました。勝つための戦い方が分かったのです。

 

それまでの私には、マーケティング戦略がありませんでした。仕事は速いものの、大量の仕事に忙殺され、ムダも多かったのです。マーケティングの知識があれば、市場を俯瞰的に見て勝てるポイントを見つけ、戦略を立てて飛び道具を正しく使い、余裕で勝てます。本当にやるべきことを決め、ムダなことはしません。

 

マーケティング戦略を立てた上で戦えるようになった私は、事業戦略の立案と実施を担当して大きな成果をあげ、会社の成長を実現できるようになりました。独立後はさまざまな業界の人たちにマーケティングを教える立場になりました。また私が主催する永井塾で勝ち方を学んだ人たちは、次々と成果を生み出しています。

 

マーケティング巧者の欧米・中国企業は、自由自在にモビルスーツ(つまりマーケティング戦略)を使いこなします。GAFA(グーグル・アップル・Facebook・アマゾン)、テスラ、ネットフリックスといった超優良企業はどこもさまざまな最新マーケティング理論を活用しています。

 

マーケティングを学ばない日本企業は相変わらず現場第一主義。素手と竹やりで戦っていて、しかも武器の違いに気がついていません。しかし日本のビジネスパーソンの現場での経験や勘は、まだまだ海外企業に負けていません。モビルスーツを使えば、互角以上の戦いが可能です。しかもこのモビルスーツは、マーケティングを学んで日々の仕事の実戦で使い続ければ、誰でも使いこなせるようになります。使わないのは実にモッタイナイことです。

 

マーケティングはキャリアとしても赤丸急上昇中です。先日もファミリーマートのCMO(最高マーケティング責任者)就任が社長就任並みの扱いで報じられました。USJ復活も森岡毅氏のマーケティング戦略によるもの。今後、マーケティングは経営幹部登用の必須条件になるでしょう。

 

マーケティングを学ぶには?

マーケティングは、主に米国のビジネススクール(経営大学院、MBA)で進化してきました。100年前、米国で「ビジネスで成功するには幹部に理論を学ばせればいい」と考えた人がMBAをつくりました。私がIBMで学んだマーケティング研修もMBAマーケティングでした。

 

マーケティング力をつける近道は、このMBAマーケティングを学ぶことです。

 

囲碁の世界で上達の早道は、勝つための「定石」を学ぶことのように、マーケティングでも、まずはMBAマーケティングの基本定石を学べばよいのです。

 

ただし注意が必要です。マーケティングは変化が激しいので、10年前は定石でも、いまでは古いものがあります。だから最新のマーケティング理論を学ぶことも必要なのですが、この見極めが難しいのです。どの本を読めばいいか分からないし、多忙な私たちには何十冊も読む時間なんてありません。

 

そこでこれらを1冊でつかめるようにしたのが、本書です。

 

本書は、定番から最新までMBAマーケティング指南書のエッセンスをまとめた一冊です。世界的に定評のあるマーケティング良書百数十冊の候補から、定番と最新理論をより分けて50冊を厳選しました。この50冊が分かれば、現代のマーケティングには一通り対応可能です。(なおマーケティングへの理解を深めるために、日本人著者の本も10冊入れました)。

 

マーケティングを語るのならばこの50冊の内容は最低でも理解してほしいところです。

 

ただこの50冊は、難解で分厚い本ばかりです。一方でビジネスパーソンは「要は仕事でどう役立つか」を手っ取り早く知りたいもの。そこで本書は「仕事でどう生かせるか」「分かりやすさ」「面白さ」の3点を重視してまとめました。具体的には、1冊あたり5分でエッセンスをつかめるように50冊の本質を押さえた上で、身近な事例と日々の仕事への指針も加えました。

 

さらにマーケティング成功のカギは、俯瞰的に考えることです。そこで本書では、50冊で関連する箇所を参照し合うことで、マーケティングの理解促進も図るとともに、テーマ別に次の6章構成でマーケティングを俯瞰できるようにしています。

 

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プロフィール

  • 永井 孝尚氏

    マーケティング戦略コンサルタント

    慶應義塾大学工学部(現・理工学部)を卒業後、日本IBMに入社。マーケティングマネージャーとして事業戦略策定と実施を担当、さらに人材育成責任者として人材育成戦略策定と実施を担当し、同社ソフトウェア事業の成長を支える。2013年に日本IBMを退社して独立、ウォンツアンドバリュー株式会社を設立して代表取締役に就任。執筆の傍ら、幅広い企業や団体を対象に新規事業開発支援を行う一方、毎年2000人以上に講演や研修を提供し、マーケティングや経営戦略の面白さを伝え続けている。さらに「永井経営塾」も主宰。2002年多摩大学大学院MBA修了。2013年多摩大学大学院客員教授を担当。 主な著書にシリーズ60万部『100円のコーラを1000円で売る方法』(KADOKAWA)、10万部『世界のエリートが学んでいるMBA必読書50冊を1冊にまとめてみた』、10万部『これ、いったいどうやったら売れるんですか?』(SB新書)ほか多数。著書は累計100万部を超える。最新著は『世界のエリートが学んでいるMBAマーケティング必読書50冊を1冊にまとめてみた』(KADOKAWA)。