TOP スペシャルコラムドラッカー再論 イノベーション、企業家精神はリスクが低い?!

2020/10/19

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スペシャルコラムドラッカー再論

第239回

イノベーション、企業家精神はリスクが低い?!

  • エグゼクティブ
  • マネジメント
  • 株式会社 経営者JP 代表取締役社長・CEO 井上和幸

 

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イノベーション、企業家精神というものにリスクはつきものだ。アプリオリ(経験的自明)なこととして、そう語られる。しかし、ドラッカーはこれを否定する。

 

「確かにコンピュータや遺伝子工学などハイテク分野のイノベーションは失敗の確率が高い。成功の確率どころか生き残りの確率さえかなり小さい。しかし、企業家精神には大きなリスクが伴わなければならないなどとどうしていえようか。」(『イノベーションと企業家精神』、1985年)

 

企業家は、生産性が低く成果の乏しい分野から、生産性が高く成果の大きい分野に資源を動かす。そこには成功しないかもしれないというリスクは当然ある。
しかし多少なりとも成功すれば、その成功は、他の失敗を補って余りあるほど大きい。だからこそ、企業家はリスクを積極的に取りに行く。

 

「したがって企業家精神は、単なる最適化よりもはるかにリスクが小さいというべきである。」(『イノベーションと企業家精神』)

 

イノベーションが必然であって、大きな利益が必然である分野=イノベーションの機会が既に存在する分野(20年前のインターネット、10年前のスマートフォン市場。さていまは?)において、資源の最適化に留まることほどリスクの大きなことはないとドラッカーは断言する。

 

「論理的にいって、企業家精神こそ最もリスクが小さい。企業家精神のリスクについての通念が間違いであることを教えてくれる企業家的な組織は、われわれの身近にいくらでもある。」(『イノベーションと企業家精神』)

 

本書が書かれた時点(1985年)でドラッカーは、その「身近な例」として、AT&T、IBM、P&G、3Mを挙げている。いまならさしずめGAFA、BATが挙げられるだろうが、IBM、P&G、3Mなどはかつてほどの輝きを感じないとしても、いまだなおイノベーションカンパニーとしてのDNAは健在な企業だと思う。

 

「神の助け、まぐれ当たり、偶然とするには、あまりに多くの企業がイノベーションを成功させている。」(『イノベーションと企業家精神』)

 

だから、イノベーションは、たまたま、極少数の企業のためのものではないのだというドラッカーの断言は、我々経営者にとって勇気の沸く言葉だ。

 

ではなぜ、一般的に企業家精神、イノベーションがリスクの高いものだと言われるのか?ドラッカーは、企業家精神にリスクが伴うのは、一般に企業家とされている人たちの多くが自分のしていることを理解していないからであると指摘する。

 

「つまり方法論をもたないから...

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プロフィール

  • 井上和幸

    株式会社 経営者JP 代表取締役社長・CEO

    1989年早稲田大学卒業後、リクルート入社。2000年に人材コンサルティング会社に転職、取締役就任。2004年よりリクルート・エックス(現・リクルートエグゼクティブエージェント)。2010年に経営者JPを設立、代表取締役社長・CEOに就任。 『社長になる人の条件』(日本実業出版社)、『ずるいマネジメント』(SBクリエイティブ)『30代最後の転職を成功させる方法』(かんき出版)など著書多数。