TOP スペシャルコラムドラッカー再論 マネジメントの正統性は、どこから生ずるのか。

2020/09/28

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スペシャルコラムドラッカー再論

第236回

マネジメントの正統性は、どこから生ずるのか。

  • エグゼクティブ
  • マネジメント
  • 株式会社 経営者JP 代表取締役社長・CEO 井上和幸

 

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ドラッカーと言えば、マネジメントに「インテグリティ(真摯さ)」を必要不可欠のものとして求めていることを、多くの読者経営者の皆さんがご存知かと思うが、これに近しい意味合いに帰結されるものとして、「正統性」の不可欠性について語っている。

 

「社会においてリーダー的な階層にある者は、自らの役割を果たすだけでは不十分である。成果をあげるだけでは不十分である。正統性を持たなければならない。社会から正統なものとしてその存在を是認されなければならない。」(『マネジメント–-課題、責任、実践』、1973年)

 

正統性とは曖昧なコンセプトだとドラッカーは認めている。これを厳密に定義することはできないと。しかし、それでも正統性は決定的に重要だと言う。
社会のリーダー的階層としてのマネジメントは、自らに与えられた機能を遂行するために正統な権限を持たなければならない。

 

「マネジメントがその権限を認められるうえで必要とされるものが、正統性である。マネジメントたる者は、自らの権限の基盤を、組織なるものの目的と特性に由来するところの正統性に置かなければならない。」(『マネジメント–-課題、責任、実践』)

 

そもそも、企業の役割とは公のニーズを事業上の機会に転換することであり、市場のニーズと個人のニーズ(すなわち消費者と従業員のニーズ)について予期し、識別し、満足させることがマネジメントの役割である。

 

「しかしこれらの役割でさえ、正統性の根拠としては不十分である。それは事業活動を合理的に説明はしても、権限の正統性の根拠とはなりえない。自立的なマネジメント、すなわち自らの組織に奉仕することによって社会と地域に奉仕するというマネジメントの権限が認知されるには、組織の目的と特性、および組織の本質に基盤を置く正統性が必要とされる。」(『マネジメント–-課題、責任、実践』)

 

つまり、人の強みを生産的なものにする、個としての人間一人ひとり、社会的存在としての人間一人ひとりに貢献を行わせ、自己実現をさせるための手段としての組織こそが唯一、正統性の根拠となるとドラッカーは断言する。
組織をして、財とサービス、明日のための資本の供給など、その存在の目的とする貢献を社会と経済に対して果たさせることが必要なのだ。仕事を生産的なものとし、働く人たちをして成果をあげさせるという仕事と、よりよい社会をつくるという仕事が必要なのである。

 

「そしてさらに必要とされるものが、マネジメントの人間としての役割と機能に関わる仕事である。自立した存在としての組織のマネジメント足らんとするのであれば、自らを公的な存在と...

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プロフィール

  • 井上和幸

    株式会社 経営者JP 代表取締役社長・CEO

    1989年早稲田大学卒業後、リクルート入社。2000年に人材コンサルティング会社に転職、取締役就任。2004年よりリクルート・エックス(現・リクルートエグゼクティブエージェント)。2010年に経営者JPを設立、代表取締役社長・CEOに就任。 『社長になる人の条件』(日本実業出版社)、『ずるいマネジメント』(SBクリエイティブ)『30代最後の転職を成功させる方法』(かんき出版)など著書多数。