2020/09/24
1/1ページ
戦略HRBPから見た、人・組織・事業・経営の現在&これから
第3回
「森を見すぎて木を見ず」に要注意:ヒューマン・キャピタル・マネジメント編
- 組織
- 35CoCreation合同会社 CEO 桜庭 理奈氏
先週末は伊豆大島へ行きました。実のところ、私はダイビングインストラクターの卵なのです。昨年10月からすっかり間が空いてしまったインストラクター開発コースの続きをするために、伊豆大島へ向かったのでした。
久しぶりの伊豆大島の海況は大荒れ。波がじゃぶじゃぶ、エントリー(入水)の足元もぐらつきます。体幹を意識して周りの環境にも目を配り、バディ(一緒に潜る相棒)にも目で合図をしてお互いを見守ります。
元々は目的地にいるハコフグを見に行く予定でしたが、途中でチームメンバーたちに目を向けてみると、度重なるウネリと視界を阻む真っ白な気泡に緊張と不安の面持ちで、ロープにつかまっているのがやっとの様子でした。
リードしていたインストラクターと目配せをして、皆の疲労感と緊張感をこのまま継続させた場合のリスクを鑑みて、途中で引き返すことを決めました。
ハコフグを見に行くという目的は果たせませんでしたが、全員ひとりもはぐれることなく帰還することができ、皆で目や表情、身振り手振りのシグナルでいつも以上にコミュニケーションを交わしながら戻って来たときには、潜る前のチームとは異なる次元での連帯感と一体感、信頼感を醸成したチームになっていました。
そのあと皆で食べたご飯に、いつも以上に充足感があったのは、単にお腹がいっぱいになっただけではなさそうです。
これが正解という方程式がなかなか出しづらい状況に思うこと
最近のニュースを拝見していると、残念なことに多くの企業が、すべてのチームメンバーに対して、安定的な雇用環境を継続していくことが難しい状況に直面していることがわかります。
同時に、この時代の波に影響を受け、今勤めている企業から、自分の意に反して離れることを決断する人もいます。企業にとっても、チームメンバーにとっても、頭を悩ます状況です。
また、経営者にとっては、コロナ禍による業績悪化や回復の兆しが明確に見え切らない中で、現在の人的リソースを現状維持しながら回復を遂げることは難しいと判断して、断腸の思いで行動を起こすものの、何が本当の正解であるか、と問われると100%の自信を持って答えられる人は、どれだけいるでしょうか。
あとで振り返って、ああすべきだった、こうすべきだった、ということの考察は述べられるでしょうが、今、ここで、すぐに決断を迫られて答えを出し実行していくものの中には、当然不確定要素も少なからず介在します。
先行きが見通せない海況で、皆一丸となって船を漕ぐことの難しさとモヤモヤ
現場を預かる管理職やマネジャーにとっては、そのような状況を受けての厳しい経営判断に従って、自分のチームのダウンサイジング(縮小)や、チ...
こちらは会員限定記事です。
無料会員登録をしていただくと続きをお読みいただけます。