TOP 社長を目指す方程式 経営陣から必要とされる参謀幹部になるための「3つの仕事」

2020/09/01

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第47回

経営陣から必要とされる参謀幹部になるための「3つの仕事」

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  • 株式会社経営者JP 代表取締役社長・CEO 井上和幸

 

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今回の社長を目指す法則・方程式:

BCG日本代表・杉田浩章氏「経営参謀の仕事、3つの要素」 

 

私が経営する経営者JP社では幹部採用支援が中核事業のひとつですが、ウズコロナ下、水面下でかなり活発化している幹部採用において、明らかに二極化傾向が強まっています。求められる幹部人材には複数社のオファーが殺到し、一方ではどの企業からも色よい評価を得られない幹部の方も。その差はなんでしょう? 


ひとつ明確に言える共通項は、これから強く求められる上司の皆さんは経営者・経営陣のよき参謀となってくれる人であるということ。BCG日本代表・杉田浩章さんの新刊『プロフェッショナル経営参謀』によれば、経営参謀の仕事には3つの要素があるといいます。今回はこの参謀力に着目してみたいと思います。 

 

「解くべき課題の設定と、潰していくべき論点の見立て」ができる幹部  

のっけから耳の痛い話からスタートで大変恐縮ですが、社長が参謀幹部に対して不満を持つのは、大きく次の3つの場合が多いですね。 
 

一つ目は、提案や行動が偏っている。判断する際に、幹部が見ている視界が狭かったり偏っていたりするケースです。「おいおい、もっとこちらの側面からのリスクもケアてくれよ」「他のニーズも含めて考えれば、こんなに限定的な提案に留まらず、もっと大きな案件にできるじゃないか」-。あなたの話を聞きながら、社長はそんな風に思っている訳です。 
 

二つ目は、そもそも考え尽くしていない。「諦めずに、もっと情報収集し尽くしてから言ってくれ」「本気で成功させようと思っているのか」。 
私が伸びるリーダーの基本要件の一つとしてお話ししていることに、<チームでもっとも諦めの悪い奴になれ>があります(自著『あたりまえだけどなかなかできない係長・主任のルール』の帯にも使われました)。チームで、会社で、最も粘れる人、最もしつこく考え尽くせる人が、そのチーム、会社で最も成長可能性のある(そして実際に最も成長する)人です。 
 

三つ目に、時間感覚がずれている、多くの場合は遅い。杉田さんは「メンバー時間」と「リーダー時間」と言っていますが、成り行きで動く(逐次思考)幹部に対して、経営者は常にゴールからの逆算思考で思考・行動していますので、「あの件、間に合うのか」「それでこの四半期内での目標に到達できるのか」ということが気になって仕方がないのです。月末までに完了するなら、今週中にここまでのマイルストーンに到達していなければ厳しくなる、ということに対して鈍感、納期死守意識がない、成果達成危機感の薄い幹部の方というのは、経営者目線で見ますとストレートに言って、結構多いものなのです。 
 

では逆に、経営者に遇される参謀幹部とは? ひとつには、経営者からして自分では気がつかなかった側面に光を当ててくれたり、別の角度からの策を提案してくれるような人です。 
 
こうしたことができるようになるには、危機意識・違和感、あるいは強い好奇心と洞察力を日頃から意識的に醸成する努力が望ましいでしょう。 
 

第一の要素は「議論すべき課題と論点の見立て」ができることだと杉田さんは言います。上記とは反対に、社長が視界に入れることができていなかった部分や、思廻らせ切れていなかった点に対して目を配り、抽出・提示をしてくれる参謀。 
VUCAと言われる昨今の事業環境、経営環境の中、経営者も迷っているのです。事業や現場に最も近い場所にいる幹部のあなたが解くべき課題を設定し、潰していくべき論点の粒度と順序を決めてあげられれば、社長からの信頼抜群です。 

「意思決定のメカニズムとプロセスを組み立てる」ことができる幹部 

第二の要素として杉田さんが挙げているのは、「意思決定プロセスのデザイン」ができる幹部。 
我が社の意思決定のメカニズムを理解し、そこへ到達させるまでのプロセスを組み立てるデザイン力、設計力を発揮するのが優秀な参謀幹部です。 
 
プロセスを組み立てる過程で参謀に求められるのは、ある種の直感力だと杉田氏は言います。 
 

経営層との議論の中で、どうやらこのルートが正しいようだから、このまま直進しようと判断するのか、これを続けても前に進まないから、方向転換しようと判断するのか。こうした見極めには、緻密ではあるが臨機応変に対応できるフレキシブルなセンスが不可欠となる」(『プロフェッショナル経営参謀』) 
 

私は、これには、幹部の皆さんがトップに折々、情報素材や企画の途中経過案を「当ててみる」ことが大事だと見ています。実際、できる参謀は不定期的に、過剰にならない程度にかなりの頻度で「これでどうです?」とシナリオ案や企画の整理を策定途中段階でトップにレビューを求めることを、非常にうまくやっています。 
 
こうしたことができるようになるには、論理思考力・構造化力と段取り力が欠かせませんね。 

 

「経営者を刺激する材料と考えさせる質問を突きつける」ことができる幹部 

第三の要素は「議論の誘発」です
経営者を刺激する材料を提示し、考えさせる質問を突きつける。経営層からの反発大歓迎で、既成概念や固定観念から脱出させることが、自社の未来を切り拓き、結果として経営陣から大きく評価されることになるのです。(人の意見に全く耳を貸さない一部特定のエゴ型経営トップは今もそこここに存在しますが、そうしたトップの企業がウィズ/アフターコロナで永続することは難しいと思われますので、もしあなたがそうしたトップの会社に所属されている場合は、早期脱出を検討されることも一考かと。)

 

私が経営する経営者JP社では経営層・幹部層のキャリア支援・採用や転職の支援を行なっていますが、そのベースの理論のひとつとして「経営人材」「幹部人材」それぞれの定義を持っています。

 

「経営人材」とは一般的肩書きで言えば社長・役員など経営層の人を指し、「幹部人材」とは部長・課長など中間管理職層を指します。ただし、私たちは肩書きを言っているのではなく、企業組織における役割の違いにアプローチしています。

 

幹部人材:自分の働き(稼働)に対して報酬を貰う人 VS 経営人材:会社、事業から出た収益から報酬を貰う人
幹部人材:経営や事業の「目的」「目標」「課題」に応える人 VS 経営人材:経営や事業の「目的」「目標」「課題」は何かを設定する人
幹部人材:給与を貰う(という意識の)人 経営人材:給与を払う(という意識の)人
幹部人材:会社の「問い」に答える人 経営人材:会社の「問い」を立てる人 

です。 

 

「雇われる側の目線」対「雇う側の目線」といえば分かりやすいでしょうか。この違い・差から、決して「幹部人材」として頑張り優秀であることの延長線上に「経営人材」がある訳ではないことを認識いただけることと思います。

 

さてそこで、よき経営参謀とは、自分の立ち位置としては幹部人材立ち位置(中間管理職としての部長、課長等)でありつつ、行為は「経営人材代行」ができる人です。杉田さんも次のように言っています。

 

「参謀の仕事は、与えられた問いに答えを出すことではない。自ら正しい問いを立て、なぜ今、それを解くべきかについて経営層と合意形成を図る。さらには問いを突きつけることで、経営層に意思決定を迫ることにある」(『プロフェッショナル経営参謀』)

 

         *         *         *

 

いま強く求められているのは経営者・経営陣を頼もしく支えてくれる参謀幹部です。そうした人がこのウズコロナ下での大変革期に抜擢され、あるいは外部から幹部採用されています。
何よりもこれらの経験と実績こそが、あなたを将来、経営陣〜社長になる人へと導くのです。
 

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※この記事は、「SankeiBiz『井上和幸 社長を目指す方程式』」の連載から転載したものです。
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プロフィール

  • 井上和幸

    株式会社経営者JP 代表取締役社長・CEO

    1966年群馬県生まれ。早稲田大学卒業後、株式会社リクルート入社。人材コンサルティング会社に転職後、株式会社リクルート・エックス(現・リクルートエグゼクティブエージェント)のマネージングディレクターを経て、2010年に株式会社 経営者JPを設立。企業の経営人材採用支援・転職支援、経営組織コンサルティング、経営人材育成プログラムを提供。著書に『ずるいマネジメント 頑張らなくても、すごい成果がついてくる!』(SBクリエイティブ)、『社長になる人の条件』(日本実業出版社)、『ビジネスモデル×仕事術』(共著、日本実業出版社)、『5年後も会社から求められる人、捨てられる人』(遊タイム出版)、『「社長のヘッドハンター」が教える成功法則』(サンマーク出版)など。