2020/08/27
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戦略人事の仕掛人
第13回
働く人と組織の志がつながれば、人事の形を日本から変えることができる【後編】
- 組織
事業戦略や経営戦略をドライブする上で次第に経営層に求められる存在となってきたHRビジネスパートナー(以下HRBP)。企業のHR部門が戦略的人事として機能するためにも、恐らく欠かせない存在となって行くだろう。
GEヘルスケア・ジャパンのHRビジネス・
(聞き手/井上和幸)
新制度の幸運な副産物は話し合いの風土が生まれたこと
GEグループにおける桜庭さんの2度目の職場となったGEヘルスケアは、MRIなど、画像診断装置メーカーとして実績があるのみならず、IOTやAIの分野におけるイノベーションの実装を通じて日本の医療の課題解決に貢献してきた会社。全世界で約5万4,000人の従業員を抱え、日本法人であるGEヘルスケア・ジャパンは1982年に設立された。
前編でも触れた、いわゆる“リーマンショック後”の社内カルチャー変革がスタートしたのは2015年のこと。そして、GEヘルスケアでは2016年よりHRBPモデルを導入し、桜庭さんもそのHRBPの1人として、同年10月に古巣の敷居をまたぐこととなった。
井上 このときに驚いたのが、それまで30年も守り続けてきた“GEバリュー”という行動指針さえ、“GEビリーフ”という新しい概念に大転換したというところ。GEのノーレイティングについては、日本企業各社の人事部門からも相当な関心が寄せられていますが、実際にはどうだったのですか?
桜庭 GEは、「必ず結果を出す」というコミットメントがとても強い組織なので、逆に結果がはっきり出ないものに遊びとか余白を持たせることが苦手。日本でいう「ちょっと寝かせてみる」といったことが得意ではないんです。
社内カルチャー変革ではそういったところも変えられるよう、社員の行動変革をうながす“パフォーマンス・ディベロップメント(PD)”を導入しました。
井上 それが話題の評価制度ですね。レーティングをやめ、ゴール設定をやめ、一人ひとりが自律的に評価軸を定めていくという。
桜庭 「自分の成長のためのプライオリティが変わったら、それも自律的に変えて良いんですよ」「日々タイムリーにフィードバックしていけば、お互いに歩み寄って評価ができますよね」…となるのが期待値でした。
ところがそれをやるのは...
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