2020/08/20
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私が経営者になった日
第41回
【貝印 遠藤氏】「人」を中心に、自分はどう考え決断するのか。 (Vol.2)
- 経営
- キャリア
- 経営者インタビュー
- 貝印株式会社 代表取締役社長 遠藤宏治氏
●社長になって3年はじっくりと。
社長になっての3年間は、あえて新しいことに手を付けるのではなくて、じっくりといろいろなことを「見ていた」という。
「これは私なりの組織づくりと言いますか、一人ではものごとは何も進まないので、私ども貝印の中にどういう人たちがいるのか。能力だけではなくて、性格面や相性の面を見極めたいなという思いがありましたね。
父からも“中のいろいろなものを見極めろ”と亡くなる前にも言われていましたし、自分自身も、社長になってから三十数年たっていますけれども、やはり経営を進めていく中で、思っている事業なり会社へ向かっていくのかというのは、どう人を組み合わせるか、人によるところが大きい。どういう性格のどういう人が会社の中にはいて、それをもっと生かすにはどうしたらいいのか。それがきちんと機能して、そういう方向に向かっているかどうかを感じる能力みたいなものが経営者には必要だと思います。
そこで、社長になって最初は、ただ単に経営分析の数字面だけではなくて、特に人をじっくりと見極めようと。焦ってやるといろいろなものの要素がどう変化するかわからないので、よく見極めてからいろいろな手を打っていこうと思ってやっていました。」
●会って話をすることを心がけた。
その3年間、社長が人を見極めるために特に心がけていたことはなんだろう
「会って話をすることです。やはり話をしないと、どういう考え方を持っているかどうかというのは、なかなかわからないので。できるだけいろいろな所に出向きました。もちろん社員だけではなくて、いわゆるお得意先なり協力先も、そこの経営者と話をすることによってよくわかることがあります。そして、そういったものをできるだけ吸収するということを心がけていました。」
社内でも、いろいろなことをやり始めようとするときには、車座をおこなったという。
「一度に社員10人ぐらいを集めて、私のこれからの考え方や何かを2時間ぐらい話をするということを何十回とやりました。車座だとか膝詰めとか名前を付けましたけれども、自分の思いを語りながら、社員の話も聞きました。このやり方は他社の事例を、何かの記事で拝見して、“これは面白いな”ということでやりました。」
良いと思ったものは、積極的に取り入れていくのが遠藤氏のスタイルだ。
「よく親父から教わったんですよ。“知恵泥棒は罪にならないから、どんどんしろ”ということなので、いいなと思ったものはできるだけ使うようしました。」
本インタビューはzoomにて行いました。 通常の写真と異なりますことご了承ください。
●裸の王様にはならないように。
「膝詰めや車座をやっているときは、自分も夢中なので、こういうふうにしたら、こういう反応をするだろうと予測でき...
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