TOP スペシャルコラムドラッカー再論 グローバル市場を破壊することはできない。

2020/04/20

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スペシャルコラムドラッカー再論

第215回

グローバル市場を破壊することはできない。

  • エグゼクティブ
  • マネジメント
  • 井上 和幸 株式会社 経営者JP 代表取締役社長・CEO

 

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そもそもグローバル企業の爆発的な増加は、グローバル市場の出現にあった。市場は非国家的に、人種・民族を超えて共通のグローバルな需要と期待を基盤とするようになった。1960年代、70年代、80年代と、21世紀につながるグローバル市場は全大陸へと広がり、誰もがウォークマンを使い、スーパーマリオを楽しみ、マイケルジャクソンやマドンナに熱狂し、ドラえもんやガンダム、ドラゴンボールにはまるようになったのだ。

 

「あらゆる市場が需要によって規定される。供給を生み出すものは需要である。まさに供給が何であるかを規定するものさえ需要である。市場を形成する機会、市場をもたらすニーズ、市場を特徴づけるべきものを規定するものが需要である。」(『マネジメント–-課題、責任、実践』、1973年)

 

元々は1950年代に「ヨーロッパやアジアのコカ・コーラ化」と言われていたもの=アメリカ化は、のちにナンセンスなものであったことが判明した。アメリカ化したわけではなく、単にポスト産業化時代の市場たる大衆市場がアメリカで最初に現実化していたというに過ぎなかった。
多少の移動の自由と情報化が実現しただけで、さしたる所得の増加もなしに、世界はアメリカと同一の需要パターンを持つに至ったのだ。

 

「もちろんこれは、同一の財サービスが世界的規模の市場をもち、一か所で売れるものは世界中で売れるということではない。あるグローバル企業の食品加工業者が、アメリカ市場に乾燥スープを持ち込んで失敗した。ヨーロッパで急速に伸びた事業だったが、アメリカでは見事に失敗した。ヨーロッパでは歓迎された商品特性が、アメリカでは見向きもされなかった。車で買い物に行くアメリカの主婦にとっては、軽量であることに意味がなかった。台所の広いアメリカでは、大きさにもさしたる意味がなかった。むしろ缶スープよりも手間がかかり、賞味期限のある乾燥スープのほうが魅力がなかった。しかし、アメリカ、ヨーロッパ、日本のいずれの主婦も便利さを求めるようになったことに変わりはなかった。」(『マネジメント–-課題、責任、実践』)

 

世界市場に出現した需要パターンは、経済学者が想定したものとは大きく異なる。顧客が欲するものを最もよく知っているのは、昔も今も、顧客本人である。
ドラッカーは『マネジメント』執筆当時、たとえまだマーシャル・マクルーハンがいうところのグローバル村にはなっていないにしても、少なくともグローバルなショッピングセンターにはなっていると語った。それから50年。2020年の現在はどうだろう?

 

「世界経済におけるこの変化が意味するところのものは、これからは、地場の中小企業さえ、...

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プロフィール

  • 井上 和幸

    井上 和幸

    株式会社 経営者JP 代表取締役社長・CEO

    1966年群馬県生まれ。早稲田大学卒業後、株式会社リクルート入社。人材コンサルティング会社に転職後、株式会社リクルート・エックス(現・リクルートエグゼクティブエージェント)のマネージングディレクターを経て、2010年に株式会社 経営者JPを設立。企業の経営人材採用支援・転職支援、経営組織コンサルティング、経営人材育成プログラムを提供。著書に『ずるいマネジメント 頑張らなくても、すごい成果がついてくる!』(SBクリエイティブ)、『社長になる人の条件』(日本実業出版社)、『ビジネスモデル×仕事術』(共著、日本実業出版社)、『5年後も会社から求められる人、捨てられる人』(遊タイム出版)、『「社長のヘッドハンター」が教える成功法則』(サンマーク出版)など。

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