TOP スペシャルコラムドラッカー再論 調和し得ない多角化を、いかにマネジメントするか。

2020/02/24

1/1ページ

第207回

調和し得ない多角化を、いかにマネジメントするか。

  • エグゼクティブ
  • マネジメント
  • 株式会社 経営者JP 代表取締役社長・CEO 井上和幸

 

60秒で簡単無料登録!レギュラーメンバー登録はこちら >

 

 

多角化をマネジメントするとは、技術の分岐が共通性のない方向にばかり行われるようになったときに、どうすべきかを知っているということだとドラッカーは言う。
ときには分岐した将来性のある新技術が、自社のものとすべきものではなく、組織全体をマネジメント不能に陥らせる恐れのあるものとなることさえあるのだ。

 

このことについてドラッカーは、なかなか味わいのある表現で喩え話をしている。

 

「あらゆるマネジメントが、自らのつくったケーキは自分で食べたがる。すなわち調和しえない事業をも加えつつマネジメントしていくことを望む。残念ながら、そのようなことは不可能である。それではカッコーの雛をかえした小鳥と同じ運命となる。自らの雛が巣から突き落とされるだけである。」(『マネジメント–-課題、責任、実践』、1973年)

 

調和しえないものであるがゆえの多角化リスク、失敗の予見があるならば、選択肢は限られてくる。
まずシンプルな選択は、多角化しないことだ。

 

そうは言っても、その既存事業と調和はし難そうな、しかしそれ自体には将来性と成功期待の持てるものについては、どうすればよいか?
その選択肢としては、合弁、売却、ライセンス供与、分離をドラッカーは挙げている。

 

「いずれを選ぶにしても、マネジメントの分離は不可避である。自らの本業と調和しえないものを事業として成功させるには、専用のマネジメントを必要とする。そもそもその事業が本業と調和しえないのは、今日のマネジメントが知り、理解し、マネジメントすることのできる市場や技術の外側の世界にあるものだからである。逆にいうならば、そのような事業は、それ自身のマネジメントをもつ必要があるとともに、もつ資格があるからである。」(『マネジメント–-課題、責任、実践』)

 

本業と部分的にしか調和しえない事業は、危険な誘惑とみるべきだとドラッカーは指摘する。
一知半解は何事においても危険である。知りもしないことを知っていると錯覚する。新技術への貢献も容易に確信する。しかし、知り得ないことが、結局は大きな問題を招く。

 

この場合に、トップマネジメントは自らに対し、この製品、サービス、プロセス、技術、市場は、他社にとってこそぴったりなものになるのではないか、という問いかけをあえて行う必要がある。
そして、その答えがYESであれば(、あるいは「おそらく」であっても)、「わが社にぴったりのものにするには、何をしなければならないか。それができるようになるには何を学ばなければならないか」を問わねばならない。
更には「わが社にとって、そしてその調和せざ...

こちらは会員限定記事です。
無料会員登録をしていただくと続きをお読みいただけます。

プロフィール

  • 井上和幸

    株式会社 経営者JP 代表取締役社長・CEO

    1989年早稲田大学卒業後、リクルート入社。2000年に人材コンサルティング会社に転職、取締役就任。2004年よりリクルート・エックス(現・リクルートエグゼクティブエージェント)。2010年に経営者JPを設立、代表取締役社長・CEOに就任。 『社長になる人の条件』(日本実業出版社)、『ずるいマネジメント』(SBクリエイティブ)『30代最後の転職を成功させる方法』(かんき出版)など著書多数。