TOP 社長を目指す方程式 他人を動かす究極の説得術 私たちは「理由」に突き動かされる

2020/02/18

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社長を目指す方程式

第33回

他人を動かす究極の説得術 私たちは「理由」に突き動かされる

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今回の社長を目指す法則・方程式:

エレン・ランガー「カチッサー効果」

 
こんにちは、経営者JPの井上です。上司の仕事は「他人を動かして、ことをなす」こと。それが究極にうまいのがデキる社長だとも言えるでしょう。とはいえ、顧客にはもちろんのこと、役員や社長にも、はたまた部下にさえも、お願いして何かをやってもらうのはなかなか苦手で…という上司の方もいらっしゃるかもしれません。そもそも、なぜ成功している社長は、あるいは業績を上げている上司の人たちは、頼み上手なのでしょう?

◆私たちが物事を頼まれた際に、断りにくくなる話し方があった

ハーバード大学の心理学者、エレン・ランガー氏が行った実験に「カチッサー効果」というものがあります。

ランガー氏ら研究員は、次のような実験を行いました。被験者に、コピー機に並ぶ順番待ちの列の先頭へ向かい、次の3通りの言い方でお願い事をさせたのです。

 

1.「すみません、5枚なのですが、先にコピーをとらせてもらえませんか?」
2.「すみません、5枚なのですが、急いでいるので先にコピーをとらせてもらえませんか?」
3.「すみません、5枚なのですが、コピーをとらなければいけないので先にコピーをとらせてもらえませんか?」

 

結果は、1の要求のみのときの承諾率は60%であるのに対し、2の理由(本当の理由)を付け足したときの承諾率はなんと94%にまで上昇しました。
しかしさらに驚くことに、3のもっともらしい理由を付け足したときでも93%の人が承諾し順番を譲ってくれたのです。

 

よくよく考えてみると、3番目のお願いは明らかに理由がおかしいですよね。きちんとした理由に全くなっていません。
この実験から、人は理由を耳にしているときに、その内容ではなく「~なので」という言葉だけを聞く傾向にあるという仮説が得られたのです。

 

私たちは、「~なので、~してくれませんか」とお願いされたとき、「理由があるならしょうがない」と機械的に要望を受け入れているのではと考えられます。
このように、他からの働きかけに人が意識しないで反応するような機械的行動は、テープレコーダーの再生ボタンを押すカチッという音と砂嵐がサーっと流れる音になぞらえて「カチッサー理論」と名付けられました。

プロフィール

  • 井上 和幸

    井上 和幸

    株式会社 経営者JP 代表取締役社長・CEO

    1966年群馬県生まれ。早稲田大学卒業後、株式会社リクルート入社。人材コンサルティング会社に転職後、株式会社リクルート・エックス(現・リクルートエグゼクティブエージェント)のマネージングディレクターを経て、2010年に株式会社 経営者JPを設立。企業の経営人材採用支援・転職支援、経営組織コンサルティング、経営人材育成プログラムを提供。著書に『ずるいマネジメント 頑張らなくても、すごい成果がついてくる!』(SBクリエイティブ)、『社長になる人の条件』(日本実業出版社)、『ビジネスモデル×仕事術』(共著、日本実業出版社)、『5年後も会社から求められる人、捨てられる人』(遊タイム出版)、『「社長のヘッドハンター」が教える成功法則』(サンマーク出版)など。

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