2020/01/24
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第5回
脳は「四十にして惑わず」、人は「四十から可能性が広がる」(5/7)
- 経営者インタビュー
- スペシャル対談
- キャリア
- 組織
- ライフシフト・ジャパン株式会社 代表取締役CEO 大野誠一氏
- ライフシフト・ジャパン株式会社 取締役CRO & ライフシフト研究所所長 豊田義博氏
- 明治大学専門職大学院グローバル・ビジネス研究科教授 野田稔氏
人生100年時代にふさわしい会社のあり方を探索している「カイシャの未来研究会2025」。その提言内容や今後の活動を特集するこの連載。会発足の背景をお伝えした第1回、中間提言に至るまでのプロセスをお伝えした第2回、提言の概要を紹介した第3回に引き続き、前回と同じく、大野氏、豊田氏に加え、会のコアメンバーの1人、明治大学大学院教授の野田稔氏の3名による鼎談を掲載します。今回は最新の脳科学の話から始まり、会社を舞台に個々人がライフシフトをうまく果たしていくためのコツを話し合いました。
左から、明治大学専門職大学院グローバル・ビジネス研究科教授 野田稔氏/ライフシフト・ジャパン株式会社 代表取締役CEO 大野誠一氏/同社 取締役CRO & ライフシフト研究所所長 豊田義博氏
人間の脳は56歳でピークを迎える
野田 最近、面白い本を読みました。脳科学者の黒川伊保子さんが書いた『成熟脳』(新潮社)です。
それによると、ヒトの脳の一生は、面白いほど7年ごとに段階を経ていくそうです。子ども脳から14歳までにおとな脳へと成長し、28歳であらゆる知識や感覚を得てピークを迎えるも、まだ試行錯誤を繰り返す。そして、56歳で脳の総合力が最大化し、最高の成熟期を迎えるのだそうです。しかも、重篤な病や怪我にならない限り、その力は84歳まで基本的に維持されると。
豊田 84歳まで維持される!それは、人生100年時代には、なんともうれしい話です。
一年前に、人生100年時代の到来をどう思うか、という調査をしたんです(100年ライフイメージ調査)が、「期待」している人は30パーセントにすぎず、70パーセント近くの人が「不安」に思っているんです。
健康寿命は70代に低落していく、など、長寿を不安視するような情報が飛び交うことも、こういう結果につながっているように思うのです。
知識や感覚のピークが28歳、でも、総合力は56歳、というのは、自身のフィーリングともフィットしますね。
野田 そうなんですよ。でも日本企業には役職定年という制度があり、現在、多くの企業が53歳あたりを該当年齢としていますから、そのピーク前に戦力外通告を下すようなもの。まことにもったいない形で、人材の使い捨てをしていることになります。
大野 能力と年齢の関係というより、われわれ日本人に、役職定年を含め、「定年=引退=老後(余生)」というイメージが強く浸透している影響が大きいのではないでしょうか。
実際、同じ年齢の人を比べた場合、昭和の時代に比べて、思考能力も身体能力も明らかに若返っているのに、会社も個人もそれを十分に活用していない。
野田 とはいっても、50代後半ともなると、物忘れ、つまり短期記憶の力が徐々に弱まるのは事実です。これは脳細胞が減るか、活動が非活性化していると思いがちですが、黒川さんによると、そうではないそう...
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