TOP 【私が経営者になった日】井出信孝氏 ロジックだけではない反骨と使命感で。(Vol.1)

2020/01/20

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第1回

ロジックだけではない反骨と使命感で。(Vol.1)

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  • 株式会社ワコム 代表取締役社長兼CEO 井出信孝氏

 

●「いや、それ絶対やらないから」と即答。

井出氏にとって、「自分がやると決めたからやるんだ」という経験や覚悟をする機会というのは、社長就任のプロセス以前にもあったのだろうか。

 

「そういう訓練もしていませんでしたし、いわゆるMBAフレームワークみたいなこともやっていませんでした。本を読むのは好きなんですけど、経営者という高みを目指すための自分磨きとか、意識高い系のセミナーに行くのも好きではなかったので、そういうことはやったことがありませんでした。

 

ただ、前職でも、仕事は損得ではなくて、“何でこんなことやっているんだろう。でもやらなきゃいかん”という使命感で動いていたというのは常にあって、そういうロジックではないものに突き動かされてずっと来たんですね。」

 

CEO就任にあたり、他のエグゼクティブたちからは、いろいろ面白いアドバイスをもらったという。当時のグローバルHRのヘッドからは、「君、CEOになるって決めたなら、全然そういうトレーニングを受けていないから、MBAに通いなさい」と、組織マネジメント、エグゼクティブ・ファイナンス、ストラテジーといったコースをとることを強く勧められる。

 

「“いや、これ絶対やらないから”と即答しました。今ワコムが求めているのはこれじゃないし、僕の強みもこれではない。そのときは、本当に直感でしかないんですけど、これからの経営は、これじゃないでしょって言って。」

 

●フレームワークやセオリーで成功したことはない

「僕にとって、それまでのビジネス経験で、何かフレームワークがあって、そのセオリーで成功したことは一つもないです。現場を走り切って、その中で一つ一つの体験が全部スパークして、その場その場で小さい意思決定をたくさん、たくさん、無数の意思決定を積み重ねて走り抜けるという、その体験しか僕は持っていませんでした。それしかできないし、それが僕の強みです。そこから本能的に、会社を引っ張っていくときにも、『ステージ変わったので、さあMBAだ』『よし、このフレームワークだ』じゃないでしょっていうのはわかっていたのだと思います。」

 

将来ワコムを辞めた後、「どこか次のCEO職ないですかね」などという野心は今もないし、そのときも全くなかったので、汎用性があるであろうCEOとしてのトレーニングということにも興味はなかった。

 

「そんなことをやっている時間があったら、会社のチームメンバー全員と話をするし、もっと外に出てお客さんと話をするし、パートナーともっと面白い話をしたい。“本気でこれ、薦めているの?”と、思わず聞いたのを覚えています。本気だと返されましたけれど。」

 

 

(つづく)

 

(構成・文/阪本淳子)

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プロフィール

  • 井出信孝氏

    株式会社ワコム 代表取締役社長兼CEO

    1970年、東京都出身。国際基督教大学大学院行政学科国際法 修士課程修了。1995年にシャープ株式会社入社。2013年にコンポーネント事業本部技術マーケティング部ジェネラルマネージャーとして株式会社ワコムへ入社。2015年テクノロジー ソリューション ビジネスユニット バイスプレジデントに就任。同年7月にはテクノロジー ソリューション ビジネスユニット シニア・バイスプレジデントに。2017年4月エグゼクティブ・バイスプレジデント テクノロジーソリューションビジネスユニット担当兼プラットフォーム&アプリケーションビジネスユニット担当を経て、同年6月取締役に就任。2018年4月からは代表取締役社長兼CEO(現任)。

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