TOP 人生100年時代の“会社(カイシャ)シフト” 会社はアイスクリームではなくカレーライスであるべき(4/7)

2020/01/10

1/1ページ

第4回

会社はアイスクリームではなくカレーライスであるべき(4/7)

  • 経営者インタビュー
  • スペシャル対談
  • キャリア
  • 組織
  • ライフシフト・ジャパン株式会社 代表取締役CEO 大野誠一氏
  • ライフシフト・ジャパン株式会社 取締役CRO & ライフシフト研究所所長 豊田義博氏
  • 明治大学専門職大学院グローバル・ビジネス研究科教授 野田稔氏

 

人生100年時代にふさわしい会社のあり方を探索している「カイシャの未来研究会2025」。その提言内容や今後の活動を特集するこの連載。会発足の背景をお伝えした第一回、中間提言に至るまでのプロセスをお伝えした第二回、提言の概要を紹介した第三回に引き続き、今回と次回は、大野氏、豊田氏に加え、会のコアメンバーの一人、明治大学大学院教授の野田稔氏の三名による鼎談を掲載します。第四回となる今回はバブル崩壊以後の日本の企業社会と経営の実態を振り返りながら、中間提言が持つ意味を深掘りしました。

 

 

左から、ライフシフト・ジャパン株式会社 代表取締役CEO 大野誠一氏/同社 取締役CRO & ライフシフト研究所所長 豊田義博氏/明治大学専門職大学院グローバル・ビジネス研究科教授 野田稔氏

 

社員に対する愛や慈悲の心が失われた

野田 僕は日本企業の経営者に腹を立てているんです。社員に対する愛や慈悲の心を喪失してしまった。会社存続のため、というもっともらしい理屈のもとで、社員の首を平気で切る、あるいは、正社員の代わりに非正規社員を雇い、人件費をなるべく切り詰めようとしている。

 

きっかけはバブル崩壊です。言ってみれば、その時、はじめて、彼らは自分の会社が明日にもつぶれるかもしれない、という危機感を抱いたのでしょう。社員の首は切れないという不文律があったんだけれど、それを破ってしまった。一度味をしめると、何度やっても同じだ、という意識になってしまった。

 

 

豊田 パイオニアが第一号でしたよね。1993年のことでした。指名解雇を実施するという報道に、日本中が揺れました。当時在籍していたリクルートの顧問弁護士は、勉強会の席上で「犯罪行為に匹敵する」と義憤の念を口にしていました。

 

しかし、それを契機に、日本を代表する大手企業が次々と雇用に手を付け始めた。右に倣え、というこの国の悪しき特徴が顕著に現れた。リストラという言葉が、雇用削減の意味で使われ始めたのもこのころです。

 

「含み損」という言葉を人材に当てはめるようなことも起こりました。雇用している人材の中には、資産ではなく負債になってしまっている人が少なからず含まれている。抱え続けるのは短期だけではなく長期的にも企業の価値を下げるのだ、と。

 

人材ネグレクト企業が跋扈している

野田 人間に対して含み損とは何とも下品な言い回しですよ。僕の見るところ、会社の文化には二種類ある。ひとつはカレーライス文化、もう一つはアイスクリーム文化です。カレーライスはいつでも辛いけれど、最後まで温かい。一方のアイスクリーム文化は普段から甘いんだけれど、本質的には冷たい。

 

どちらがいいかといったら、断然カレーライスでしょう。社員に厳しいことを要求するけれど、本質的には優しい。思いやりや仁の心があるわけです。昔の日本企業はカレーライス文化のほうが多かったのだけれども、含み損しかり、最近はアイスクリーム文化ばかりです。業績重視の裏返しで、...

こちらはプラチナメンバー限定記事です。
プラチナメンバー登録(年間11,000円or月間1,100円)を
していただくと続きをお読みいただけます。

※登録後30日間無料体験実施中!

プロフィール

  • 大野誠一氏

    ライフシフト・ジャパン株式会社 代表取締役CEO

    1958年生。82年早稲田大卒、リクルート入社。「ガテン」(創刊)、「とらばーゆ」、「アントレ」(創刊)、「ダ・ヴィンチ」の編集長を歴任。2001年、パナソニックに転身しデジタルテレビのネットワーク・サービス開発に取り組み、06年、大手家電メーカー共同出資によるジョイント・ベンチャー/(株)アクトビラを設立し代表取締役社長に就任、08年退任。フリーランス時代を経て、11年よりローソンHMVエンタテイメントでスタートアップ企業とのアライアンスなどを推進。現在は、葉加瀬太郎が音楽監督を務めるレーベル「HATS」で新規事業としてオンライン・ヴァイオリン・スクール「葉加瀬アカデミー」を立ち上げている。17年、NPO法人ファザーリング・ジャパン代表の安藤哲也などと共に「人生100年時代」のライフデザインを提唱するソーシャル・ベンチャー/ライフシフト・ジャパン(株)を設立。

  • 豊田義博氏

    ライフシフト・ジャパン株式会社 取締役CRO & ライフシフト研究所所長

    東京大学卒。1983年リクルート入社。数百社におよぶ企業の新卒採用戦略、広報計画業務に制作ディレクターとして長く従事。その後、『就職ジャーナル』『リクルートブック』『Works』編集長を歴任。1999年リクルートワークス研究所設立メンバー。現在は、個人の就業行動や志向・価値観の変化などを探索しつつ、若手からシニアに至るまでのキャリア支援に研究者 & 実践者として携わるパラレルワーカー。 著書に『実践! 50歳からのライフシフト術』(共著/NHK出版)『なぜ若手社員は「指示待ち」を選ぶのか?』(PHPビジネス新書)『若手社員が育たない。』『就活エリートの迷走』(ちくま新書) 、『新卒無業。―なぜ、彼らは就職しないのか』(共著/東洋経済新報社)などがある。リクルートワークス研究所 特任研究員/産学協働人材育成コンソーシアム 理事/高知大学客員教授/金沢工業大学大学院客員教授も務める。

  • 野田稔氏

    明治大学専門職大学院グローバル・ビジネス研究科教授

    1981年一橋大学商学部卒業 株式会社野村総合研究所入社。1987年一橋大学大学院修士課程修了。野村総合研究所復帰後、経営戦略コンサルティング室長、経営コンサルティング一部部長を経て2001年3月退社。多摩大学経営情報学部教授、株式会社リクルート 新規事業担当フェローを経て、2008年4月より現職。リクルートワークス研究所 特任研究顧問を兼任。著書:『組織論再入門』(ダイヤモンド社)、『中堅崩壊』(ダイヤモンド社)、『二流を超一流に変える「心」の燃やし方』(フォレスト出版)、『野田稔のリーダーになるための教科書』(宝島社)、『あたたかい組織感情』(ソフトバンククリエイティブ)など多数。