2019/12/18
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成功する経営者は皆、多読家。「TERRACEの本棚」
第83回
ゴーン氏凋落の「本当の原因」はどこにあったのか?
- 組織
- 経営
- 吉村 健太郎氏 PHP研究所 第二制作部(ビジネス書籍)部長 兼 月刊『THE21』編集部長
成功する経営者は皆、多読家。
「TERRACEの本棚」では、成功している経営者が注目している、読んでいる書籍をご紹介してまいります。
今回は、『「名経営者」はどこで間違ったのか』。
本書の編集を手掛けられた、PHP研究所の吉村健太郎氏に見どころを伺いました。
「カルロス・ゴーン氏の真の評価について書きたい」と本書の著者、法木さんからお話をいただいたのは、今年3月ごろ。
2018年11月の逮捕以来、「ゴーン・ショック」もそろそろ落ち着いてきたころであり、タイミング的には遅すぎる、と感じたのが正直なところでした。
ただ、いただいた構成案を見て思ったのは、「これはゴーン氏の本というより、日産を舞台にした現代版『失敗の本質』だ」ということでした。
1970年代ごろに始まった日産の「暴走」の説明から始まり、ゴーン氏という劇薬で一度はV字回復したものの、再びかつてと同じような問題を抱え、ついには破局に至る。
組織はなぜ暴走してしまうのか、独裁者の登場は止められないのか、そして、「トップダウン型リーダー」が機能する条件は何なのか……
こうした経営課題が、日産50年の歴史をベースに紐解かれていくのが、本書なのです。
中でも特に著者が力を入れているのが、「日産とルノーとの関係」についての記述です。
ルノーによる日産の「買収」は、本来、あり得ないことでした。規模も組織力もはるかに劣るルノーが日産という巨人を飲み込んだことによる弊害が、ゴーン氏の暴走と逮捕、そして現在まで続く日産の迷走の根幹にある、というのが著者の主張です。
自らが外資系企業に長年勤めてきた著者だけに、「外資との提携の難しさ」がリアルに浮き彫りになります。
今後、外資との提携がどんな分野でも活発化してくるであろう日本企業にとって、決して他人ごとではないでしょう。
ちなみに著者は「ゴーン氏がルノーから派遣されたのでなく、日産が直接彼をヘッドハンティングしていたら、結末は大きく違っていただろう」と言います。
その真意とは……詳しくはぜひ、本書をお読みください。
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