TOP スペシャルコラムドラッカー再論 中企業における三つのトップマネジメントと三つの課題。

2019/09/24

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第189回

中企業における三つのトップマネジメントと三つの課題。

  • エグゼクティブ
  • マネジメント
  • 株式会社 経営者JP 代表取締役社長・CEO 井上和幸

 

前回(VOL.188)、中企業には三つのタイプがあることをご紹介した。

 

第一が、単一技術、単一市場の中企業。基本的には小企業だが、基幹的な要員は一人の人間が詳しく知るには多すぎるという企業を指している。
第二が、製品の種類と市場は複数持つが、事業的にはそれらのいずれもが類似の特性を持つという中企業。
第三が、複数の事業を持つが、そのいずれもが相互依存関係にあるという中企業。

 

そしてドラッカーは、この3つのタイプそれぞれが特有の問題を抱えていると言っている。

 

「(第一の)単一製品、単一市場の中企業では、最大の問題は組織構造である職能別組織を適用するにはすでに大きすぎる。コミュニケーションの不足、縄張り意識、反応の鈍さ、未来志向よりも問題志向、部門中心主義など、規模の不適切な職能別組織の弊害が現れているはずである。」(『マネジメント–-課題、責任、実践』、1973年)

 

しかしこのタイプの中企業では、連邦分権組織を採用する訳にもいかない。なぜなら、自立させて独立採算とすべき複数の事業というものが存在していないからだ。できることはチーム型組織としてのタスクフォースの多様化、擬似分権組織をコストセンター別に導入することだ。

 

また、トップマネジメントの構造も問題となる。単一製品、単一市場の中企業は通常、一人の人間がトップマネジメントの仕事を行なっている。しかし実態としては、すでにチームとしてのマネジメントを必要としている規模なのだ。
よって、マネジメントチームを持つことと、自分たちが卓越すべき分野が何であるかも明らかにしなけらばならないため、極少数のサービススタッフ〜思索し、計画し、助言する、我々が認識しているところの経営企画・事業企画担当をさすだろう〜を持つべきだとドラッカーは指摘する。

 

「これに対し、連邦分権組織を使える第二のタイプの中企業は、組織の仕方はかなり易しいといえる。企業体としては連邦分権組織を使えばよいし、自立した部門の内部では職能別組織を使えばよい。もちろんチーム型組織を使うこともできる。」(『マネジメント–-課題、責任、実践』)

 

以前に見たように、チーム型組織はイノベーションの仕事で適用されるべき組織形態だ。しかし、この第二のタイプの中企業におけるトップマネジメントには、チーム型組織が必要だとドラッカーは言う。
なぜならこのタイプの中企業には、トップマネジメント・チームが複数必要だからだ。人によっては幾つかを兼任しなければならないし、もちろん全体のことだけを考えるトップマネジメント・チームも必要だ。

 

各部門のことは部門のトップマネジメントの長が全て責...

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プロフィール

  • 井上和幸

    株式会社 経営者JP 代表取締役社長・CEO

    1989年早稲田大学卒業後、リクルート入社。2000年に人材コンサルティング会社に転職、取締役就任。2004年よりリクルート・エックス(現・リクルートエグゼクティブエージェント)。2010年に経営者JPを設立、代表取締役社長・CEOに就任。 『社長になる人の条件』(日本実業出版社)、『ずるいマネジメント』(SBクリエイティブ)『30代最後の転職を成功させる方法』(かんき出版)など著書多数。