TOP スペシャルコラムドラッカー再論 連邦分権組織における、組織の適切な「小ささ」と「大きさ」。

2019/04/29

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第169回

連邦分権組織における、組織の適切な「小ささ」と「大きさ」。

  • エグゼクティブ
  • マネジメント
  • 株式会社 経営者JP 代表取締役社長・CEO 井上和幸

 

職能別組織は、中規模以上の大きさに育つと組織として劣化をし始める。連邦分権組織は、この、規模の問題を解決するために設計されたとドラッカーは述べる。
しかし連邦分権組織もまた、規模の制約を受けることに変わりはない。なぜなら、せっかく連邦分権型にして自立した部門を創ったにも関わらず、それが大きくなれば、そのなかにまた職能別組織が出現するからだ。

 

「こうして自立した部門そのものが、業績をあげることのできない巨大で鈍重な組織と化す。全社レベルのトップマネジメントという頭脳部分は機能している。しかし自立した部門内の職能別組織が硬直化し、全体のためではなく自らのために働くようになる。」(『マネジメント–-課題、責任、実践』、1973年)

 

この観点からすれば、ある一定以上の規模に達した部門を分割したり、企業を分社化したりすることには組織合理的な意味がある。
ただし単一事業の場合になかなか分社化しがたかったり、分社化を機能別に行ってしまえば、それは逆に、大いなる職能別会社の出現となって百害あって一利なし(少なくともドラッカーはそう見ていた)だ。

 

さてでは、組織は小さければよいのかといえば、そうではない。

 

「自立した組織は、自らのマネジメントを養い切れるほどには大きくならなければならない。」(『マネジメント–-課題、責任、実践』)

 

この「小ささ」の限界は、業容によって当然異なる。流通小売り型ビジネスであれば、1店舗あたりの人数はかなり少数で問題ない。一方で製造メーカーなどの場合は、最小単位が数千人・売上数百億~数千億規模以上でなければ充分な事業安定性を得られないだろう。

 

したがって、そのように小規模の事業を連邦分権組織の自立した部門とするには、それらの部門内の組織は職能別組織ではなくチーム型組織とすべきだ。

 

「ここにおいて基準となるのは規模の大小ではない。必要とされるマネジメントの性格である。自立した部門では、まともな者が腕を振るえなければならない。マネジメント、すなわち目標設定、計画、チームづくり、仕事の組み立て、評価などを行う余地がなければならない。常にマネジメントたる者が目を光らせ、市場、製品、サービス、人材を開発していかなければならない。基準は大小ではない。マネジメントの必要度である。」(『マネジメント–-課題、責任、実践』)

 

ここにおいて気を付けなければならないのが、連邦分権組織における本社の存在だ。
ともすれば、自立すべき部門が本社のサービススタッフに依存するようなことが往々にして発生する。
また、本社スタッフが自分の仕事を増やすため、自分の影響力や権限を拡張するた...

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プロフィール

  • 井上和幸

    株式会社 経営者JP 代表取締役社長・CEO

    1989年早稲田大学卒業後、リクルート入社。2000年に人材コンサルティング会社に転職、取締役就任。2004年よりリクルート・エックス(現・リクルートエグゼクティブエージェント)。2010年に経営者JPを設立、代表取締役社長・CEOに就任。 『社長になる人の条件』(日本実業出版社)、『ずるいマネジメント』(SBクリエイティブ)『30代最後の転職を成功させる方法』(かんき出版)など著書多数。