2019/03/29
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理論で固める経営戦略
第18回
アンチ・ヒエラルキー組織論の系譜 ーー“アメーバ経営”との類似性
- 経営
- 佐々木一寿 作家、経営者JP総研客員研究員
◇アメーバ組織とは
まず、稲盛氏は、アメーバ経営においては「会社全体があたかもひとつの生命体であるかのように機能することができる」と自身の言葉で語っている(『アメーバ経営』第3章)。
おそらく、それと対を成すのは、重層的なヒエラルキー組織だということが、著書の序文からも窺い知れる。
「会社経営に携わるようになってから、私は、従来からのオーソドックスな経営管理のあり方に疑問を感じていた。大企業のように複雑化した組織をトータルで管理しようとすれば、組織の末端にある現場にまで目が行き届かず、『大企業病』と呼ばれるさまざまな弊害を引き起こすため、企業の収益性は低下せざるを得ない」(『アメーバ経営』文庫版序文)
そして“オーソドックスな大企業型”として稲盛氏が想定する組織は『ティール組織』で言えば、オレンジ型組織ということになるだろう。
実際に京セラは、会社の拡大期に、ヒエラルキー組織を選ばなかった。稲盛氏は、頼る経営のプロもおらず成り行き的にそうなったのだと述懐しているが、おそらくそれは謙遜で、そこにはいくつかの直感的かつ確信的な理由があったのではないかと思う。
まず、労使関係が厳しい時代(京セラは1959年設立)にあって、その対立を稲盛氏はとても非生産的だと思っていた。会社が大きく...
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