TOP ビジネス著者が語る、リーダーの仕事術 もう“時間がない”とは言わない! できるリーダーの「正しい任せ方」

2019/03/07

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ビジネス著者が語る、リーダーの仕事術

第24回

もう“時間がない”とは言わない! できるリーダーの「正しい任せ方」

  • ビジネススキル
  • キャリア
  • 伊庭正康氏 らしさラボ 代表取締役 セールス・リーダー育成トレーナー

「部下の話」を聞く時間がない、自分のことで手がいっぱいで、かまう余裕なんてない。ということはないでしょうか。
 
話を聞く時間が持てないのは、能力の問題ではありません。そもそも、リーダーのやることが増えているからです。実は、かつて私も悩んだ一人ですが、「力の入れどころ」が違っていたことに気が付けば、解決の糸口が見えて来ます。
 
今、私は、年間200回程度の企業研修に登壇しています。すると、ほとんどのリーダーは。やはり忙しく、休憩時間もずっと電話かメールの対応をしています。でも、この状態で良い判断ができるはずもないでしょうし、また部下の成長を戦略的に画策する余裕すらないはずです。

この状況の対策は、ただ一つ。もっと「仕事を任せていく」しかないのです。私が書いた
『できるリーダーは、「これ」しかやらない メンバーが自ら動き出す「任せ方」のコツ(PHP出版)』は、そのコツを紹介したい思いで書いた一冊です。今回は、その中から「任せ方」のコツを紹介していきます。

 

◆「いかに速くやるか」ではなく、「いかに任せていくか」

例えば、日々の売上の確認。これを「あなたの参謀」に任せられないでしょうか? 新人の教育も、「他の部署の人」もしくは「部下」に任せられないでしょうか?

 

プレイングリーダーが、リーダー業務を全うしようとしたら、手分けをして任せていくしかないのです。でも、こう思いませんか。「任せられた人も負担になるのは……」と。

 

実は、これがそうではないのです。

 

「もっと、信頼して任せてほしい」「チームでできることはあるのに」、これが部下達の声です。

 

まず、あなたがやっている業務の中から、あなたがやらなくてもいい仕事を考えてみてください。資料作成、調べ事、進捗の確認などもそうでしょう、自分がやったほうが早そうなことでも、あえて任せることで、あなたの時間を空けることも、リーダーの務めなのです。

 

【Try】誰かに任せられる仕事を“3つ”紙に書き出してみる

 

 

◆相手によって、任せ方を変える

相手によって、任せ方を変えることも必要です。ベテランには「プロフェッショナルな成果」を中堅には「主体性の発揮」を期待し、新人には「不安なく遂行」してもらうことが、任せる時のコツになります。つまり、成熟度によって、任せ方を変えるのです。こうすることで、相手にとっても、任された仕事であっても、やりがいにつながります。

 

 

  • ベテランへの任せ方

 

コーチ型:期待する成果を伝え、やり方を一緒に考える。「君なら、どうするのがいいと思う?」「何があったら、もっとうまくできると思う?」「いくつか選択肢を考えてみない?」「やってみたいことはある?」と質問することで、主体性を引出す。参考になるは、コーチングのGROWモデル。

GROWモデル

 

  • 新人への任せ方

 

ティーチ型:期待する成果を伝え、丁寧に教える。「この業務を」「このタイミングまでに」「このような方法で」やってほしい、と細かく伝える。大事なことは、「なぜ、これをするのか」とその理由を伝えると、やりがいを感じやすくなる。加えて、「不安や不明な点がないか」を確認し、最後は「復唱(じゃ、確認のために復唱してもらっていい?)」と締めくくる。

ティーチングの流れ

【Try】相手の成熟度によって、任せ方を変えてみよう

 

 

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プロフィール

  • 伊庭正康氏

    伊庭正康氏

    らしさラボ 代表取締役 セールス・リーダー育成トレーナー

    1991年リクルートグループ入社。営業としては致命的となる人見知りを、4万件を超える訪問活動を通じ克服。リクルート社においても珍しいとされるプレイヤー部門とマネージャー部門の両部門で年間全国トップ表彰4回を受賞、累計表彰回数は40 回以上。その後、営業部長、フロムエーキャリアの代表取締役を歴任。2011年らしさラボを設立。リーディングカンパニーを中心に年間250回のリーダー研修、営業研修、コーチング、講演を行っている。リピート率は9割を超える。著書は、『できるリーダーは、「これ」しかやらない メンバーが自ら動き出す「任せ方」のコツ(PHP研究所)』『強いチームをつくる!リーダーの心得(明日香出版社)』『残業ゼロだからこそ目標達成!!本気でやるチーム時短術(明日香出版社)』など多数。その活動は、日本経済新聞、日経ビジネス、など多数のメディアでも紹介される。